「予定は未定」
出典元、ゲームの発売日が予定日から延期される事を、ユーザーが皮肉った表現。このゲームの発売予定日なんて、未定みたいなもんだ。
商品を開発しているメーカーというものは世の中にたくさんあるが、開発に長期間を要し、消費者からの注目を浴び、発売予定日を告知しておきながら、たびたび延期するものの一つにゲームソフトがある。
ゲームソフトは業界黎明期以降、あらゆるメーカーから年に数百本も発売されている。発売予定日は毎度予告されるが、ユーザーが待ち望んでいるにも関わらずその発売日は延期される事が多い。ゲーム業界の風物詩と言えるかもしれないが、当然ながら良い事ではない。なのでもちろんユーザーとしては「そういうものだよ」と受け入れるよりは「ちゃんとしろ」と言いたいところだが、それへの反論が「じゃあクオリティ低い状態で出してもいいの?」であるからタチが悪い。いや、ちゃんとしたクオリティのものを予定通り発売日に出してください……。
ゲームメーカーが通常の業界より全体的に緩いというのは、よく言われる話である。会社が決めた発売日なのに、開発陣の「あとちょっとだけください!」に、経営陣が「しょうがないなぁ」となってしまい、たびたび延期を認めてしまうのはなぜなのか。手綱が握り切れていない。開発者からたたき上げで偉くなった著名クリエイターが経営側の人間になって、実動部隊の気持ちを汲んでしまえるのが理由の一つなのかもしれない。自分もクリエイターだっただけに、「もうそれでいいから出せ」を言えない、言いにくい。
そして業界最大手で、世界的ゲームメーカーの任天堂が、困った事によく使う手なので周りのノリもそんな感じになってしまっている。任天堂が毎回発売予定日を守っていたら、もしかしたら業界全体の空気も違っていたかもしれない。しかし残念な事に任天堂はどちらかというと常習犯である。昔からそうだが任天堂は資金的に体力に余裕があるので、「いついつにこのゲームを発売予定です!」と告知したあとに「やっぱり延期します^^;」をよく使ってくる。注目度の高いものとしては人気シリーズの新作だが、そういうものこそ期待に応えるクオリティを保つのが大切で、そして任天堂はクオリティの期待には応えてくれるのだが、そこを妥協しない替わりに発売日を妥協してくれるので、ものによっては数度に渡り延期を繰り返してしまう。開発期間が長引くほどお金が掛かるため、普通の会社なら内容に妥協して発売してしまうのだが、任天堂はそこは余裕があるので、それをしてくれない。ユーザーとしては嬉しいやら、悲しいやら。
そしてお約束の、発売延期のアナウンスを聞く事になるのである。ユーザーはがっかりしつつも、皮肉を込めて「発売予定」はあくまでも「予定」であって「確定」ではない、
「予定は未定」だな、
と語り合うのである。