「し○と」
出典元、不詳。オンラインゲームなどで、ゲーム上の予定を立てたい時に、仕事があってその時間には約束出来ないのが恥ずかしい場合に使う。
なんじゃそりゃ。
まあつまり「仕事」である。「しごと」の「ご」を伏せ字にしているだけである。そして学生はともかく社会人は、仕事があった上で娯楽であるところのゲームをしているにも関わらず、自嘲気味に言わなければならない不思議さのあるワードである。不気味さもあるワードでもある。しかし実際に使われる事のある恐ろしい言葉である。
オンラインゲームと言っても、他者との関わりが薄めのソーシャルゲームではなく、往年のギルド制オンラインゲームには特にしがらみというものがある。ギルドとは家族みたいなもので、助けたり助けてもらったりする互助会的な役割を果たす。ゲームによってはそのギルドの所属国に別れてのバトルなども存在する。ハマればハマるほど抜けにくいシステムであるが、そのゲームを深く遊ぶのにも加入必須のシステムである。ギルドがあるのにソロを貫くキリトみたいなプレイヤーは、よっぽど一方面に特化した強さを身に着けるか、あるいはオフラインゲームの様に細々とソロで出来る事だけやるというプレイスタイルになるだろう。ギルドに所属しているかどうかはそれぐらい格差があり、強力なものである。
また、ギルド自体の強さというものもある。単純に人数が多ければ多いほど強い場合もあるが、ハイレベルプレイヤーがどのくらい所属しているかがそのギルドの強さに関わってくる事も多い。初心者向けのギルドなどは初級クエストの助け合いが主な活動になるので、人数が多くても強いという訳では無いだろう。レベルについてもゲームによる。所属キャラクターのレベルによって強さの指標が分かるゲームもあれば、最大レベルは前提で、所属キャラの持つ武器や防具、魔法の強さがそのギルドの強さとなるゲームもある。そしてもちろん、バトルがあるのなら統制の取れた指示系統と熟練の動きがどれだけ出来るか、それが大きく関係して来るだろう。
そしてギルド主催のイベントである。何月何日の何時からどこどこのモンスターを倒しに行こう、そういう企画が立ち上がる。「参加します」、「行く行く、なんか必要なアイテムある?」、「1時間前から待機しとくね^^」などのリアクションの中、もちろん行けない人もいる。別にど深夜に企画したりはしないだろうが、平日、休日があっても土日に働いている人もいるのである。
「その日、し○とで……」。
現実では申し訳ないはずは無いのだが、オンラインゲーム上では申し訳ない事になる際に、自嘲気味に使われるのがこのセリフである。「し○となら仕方ないよね」、「行ける人だけで行っちゃうね」、という風にリアクションがある。しかし。
残念な事に、「出席率」というものがギルドへの「貢献率」に関わってくる事が多いのである。自嘲はその現れである。それは数値上表示される場合もあるし、されなくても「あの時あの人いなかったな」というのは参加してれば分かるのである。そして時間に自由の利くプレイヤーがキャラとしても強くなって行き、ギルド内での発言力も高くなっていく。たかがゲームだが、オンラインゲームとなると相手のいる世界なので”組織としては”意外と現実的な流れが存在するのである。まあオンラインゲームというか、ギルドなどが存在する様なMMORPGと呼ばれるゲームにおいて、それは顕著である。
摩訶不思議な文化だが、”嫁以外で”「仕事があるから」と謝る世界があるというのも、ちょっと面白い。