「良かったねぇ曇りで」
出典元、不詳。フレーズとして聞くと違和感がありながらも、現実では普通に使われている言葉。
そこは「良かったねぇ晴れで」ではないのか。雨が降らないで晴れてくれて良かった、運動会やお祭りなど、特に屋外のイベントがある時に使われるセリフだろう。そして雨が降っていなくても、曇っているよりは晴れていた方がいい。明るいし、陽射しも気持ちいいし、気分も明るくなる。当たり前の話である。
晴れより優秀な曇りなど存在しない!
……。
しかし実はそういう事もなく、あまり気にされていないだけで晴れより優秀な曇りは存在する。優秀という言い方もまた語弊だらけだが……。分かりやすいところでは夏で雨が続いていて、やっと晴れた日にカンッカンの炎天下になると、さすがに暑さの破壊力は凄まじいため、勘弁してくれという気持ちになる。かえりみて、それが曇りだった場合、暑さがそこまでではないので、つまり
「良かったねぇ曇りで」
という感想になるのである。エグい暑さの夏でも、まだ曇っていればそこそこ過ごしやすい。曇っていても雨が降っていなければ洗濯物も干せるし、お出かけだって出来る。近年の夏の暑さを考えれば曇りは比較的、晴れより優秀なのかもしれない。曇りだと晴れほど気分が爽快にならないのは気持ちの問題だし、晴れが気持ちいいのも気持ちの問題なので、それは各自が脳内で解決すべき案件である。
曇りというのはカンカン照りでないという事なので、一般的にもそこそこな利点がある。カンカン照りだと日陰以外はとにかくまぶしかったり、人によっては紫外線を気にする事になるのだが、それがなくなる。まぶしさは自動車や自転車の運転の面でも支障が出る場合があるので、それがなくなるのはちゃんとした利点である。また、日なたと日陰とで体感温度に大きな差が出るので、いわゆるクーラーが効き過ぎて寒暖差で風邪を引く現象が屋外でも発生してしまう。これらを考えれば、夏に限ったとしても曇りの優秀さは理解出来るだろう。
天気の話題は、そこまで親しくない知り合いと会った時の定番の話題と言われる。夏の「暑いですねぇ」「ホントですね」は定番中の定番だが、こちらも定番、雨上がりの日の「晴れて良かったですね」のバリエーションに、
「良かったねぇ曇りで」
も存在するのである。……たぶん。