「ちょっとスマホいじりながら話すね」。
出典元、不詳。
女性二人がファミレスで食事していた時の話である。もちろん会話もしていた。別に揉めてもいない。そして、今の時代よくある事である。片方のスマホが鳴ったかバイブしたかで、”何か”が来た。
さてどうするか。あまりデリケートに考えなくてもいいかもしれない部分だが、デリケートに考えない人に不満を抱くデリケートな人はいるという認識は持っていた方がいい程度にはデリケートな問題ではある。
パターンも選択肢もいくつかある。まず電話だった場合、これは相手に断って取った方がいい。そんなに失礼ではないし、不自然でもない。内容によっては席を外してしゃべった方がいいだろう。次にメールだった場合、これも相手に断って内容だけ確認する。急ぎの要件ならすぐに返信した方がいいが、そうでない場合も多いのがメールという媒体である。これは返信を後回しにして相手との会話に戻った方がいい。
あとあるとすればキャンペーンやクーポンの連絡。そういうのはもちろん無視。ソーシャルゲームの時間限定キャンペーンなどは問題外である。一緒にいる人に失礼だ。しかしハマリ具合によってはがっついてしまうのと、がっつくように仕掛けてくるゲームだらけなのがソーシャルゲームの闇の深い部分である。しかし常識的には、他人と一対一でいる時にソシャゲは始めない方がいい。同じゲームをしているのでもない限り容認されないだろう。
予想としてあるのはLINEの場合で、まあSkypeでもいいのだが、チャットの場合である。「今いる?」など、メールほど要件の内容が書かれていない場合があるため、その”要件”を確認するまで重要度の判断が付かないのである。これに対する解決策が、ああ、これなのか。
「ちょっとスマホいじりながら話すね」。
あ、これってアリなんだ。驚きの両取り、二正面作戦である。相手もえっと思ったかもしれないが、「タバコ吸っていいですか?」に匹敵するNOの言えない強ワードである。しばらく二人の間は無言になった。「いじりながら話すね」と言われても、相手は”じゃあ話し掛けていいのか”ってなるのではないか。ならないはずがない。そしてやっぱり、遠慮をしたようだ。LINEだったらちょっと使える高等テクニックである。相手との関係にもよるが、頭の片隅に覚えておくと使えるかも知れない技である。
が、しかし、そんなものは憶測である。この女性はLINEが来たからとは言っていない。「いじりながら話すね」しか言っていないのである。クーポンが来たのかも知れないし、ソシャゲの今だけお得なガチャをやっていたのかもしれない。ラプラスが出たのかもしれない。音は出していないし、画面も相手には見えない。話し掛けられたら、本当に話しながらいじる気まんまんだったのだろう。
全ては憶測である。少なくとも外から見て常識外れに失礼ではない。上手いなぁ、と思いつつ、今の時代、このぐらい普通なのかと思いつつ、お互いがいいならそれでいいじゃん、がやはり正解なのかな、と思うのである。