「明日から本気出す」
出典元、世の中のあらゆる場所、及びいろいろな人の心の中の声。今回はまとまった面白い記事を「ニコニコ大百科」から引用させていただく。
「明日から本気出す」とは弱者の言い訳。
概要からしてまずこれである。しかし真実と言わざるを得ない。「今日やらないで明日やろう」の強化版といったところか。「明日から本気出す」と言った人は明日になっても本気など出せない。今日出せなかった本気は、明日にも出せないのである。「逃げ口上」、「言い訳」、「自己弁護」などと類義語が挙げられている事からも、その意味だと取れる。
これが夜更けに放たれたセリフ、もしくは心の中の想いならばまだ情状酌量の余地はある。その日は忙しかったのかもしれないし、もう他の事で疲れ切っているのかもしれない。そして朝一番に放たれたとしても、計画の内なのかな、と受け取ってもらえるかもしれない。威力が高いのが昼下がり辺りで、まだこれから頑張れば出来るのに! というタイミングで使われると、聞いた側も「まあ、無理だろうな」と受け取ってしまうだろう。というかあまり口に出す言葉ではない。心の中で思うか、ネットへの書き込みで使われる。しかしかなり定番化して来てしまったため、出来ない人の常套句にもなってしまっている。
ニコニコ大百科にまとめられている、「月別『来月から本気を出す』」が非常に秀逸である。おそらくネットで誰かが発言したものだと思われるが、出来のいいのをさらに絞り込んだものなのかもしれない。素晴らしいクオリティである。
【1月】 初っ端から飛ばすと後でばてる。2月から本気を出す
【2月】 まだまだ寒い。これではやる気が出ない。3月から本気出す
【3月】 年度の終わりでタイミングが悪い。4月から本気を出す
【4月】 季節の変わり目は体調を崩しやすい。5月から本気を出す
【5月】 区切りの良い4月を逃してしまった。6月から本気を出す
【6月】 梅雨で気分が落ち込む。梅雨明けの7月から本気を出す
【7月】 これからどんどん気温が上昇していく。体力温存の為8月から本気を出す
【8月】 暑すぎて気力がそがれる。9月から本気を出す
【9月】 休みボケが抜けない。無理しても効果が無いので10月から本気を出す
【10月】 中途半端な時期。ここは雌伏の時。11月から本気を出す
【11月】 急に冷えてきた。こういう時こそ無理は禁物。12月から本気を出す
【12月】 もう今年は終わり。今年はチャンスが無かった。来年から本気出す
ネガティブさもここに極まれり。
ところどころ、説得力のあるところがイラッと来る。3月の「年度の終わりでタイミングが悪い」などがそうだ。しかしそれでいてタイミングのいい4月を適当な理由でやり過ごし、やり過ごしたあとに4月を逃してしまった事を言い訳にしている。ずるい。8月の理由も酷い。7月に体力を温存するために休んだのに、次は気力がそがれる、で来月行きである。暑くなったり備えたり、備えてるうちに寒くなったり、とにかく12月を乗り切ればまた1月の理由からリプレイ開始である。よくこんなものを思い付いたものだ。
もともとはニートが働き出す系のテンプレートだと思うが、ここまで綺麗に理由付けされてしまうと何か他の事を始めようとしていた人にも使えてしまって迷惑な存在である。しかしかすかながらも理に適っている部分があるので、そこを心の弱さに付け込まれると人はそこに逃げ込んでしまう。何かの資格を取ろうとか、ダイエットを始めるとか、月の初め、とくに年が切り替わる時などには一発奮起を考える人も多いだろうが、同様に堕落の心との戦いでもある。このテンプレートは読んでいて楽しいが、反面教師として受け取るべきであり、来月から始めようと考えている人は今月のうちに始めるべきだし、明日から本気を出すつもりの人は、今日から本気を出して行くべきであろう。