「僕は未来の自分に自信を持ってるから」。
出典元、不詳。
なんだか格好いいセリフである。夢を語る少年のようなセリフだ。大きい夢を持った少年漫画の主人公の言いそうなセリフである。いや、実際に少年のセリフなのは確かなのだが、語っているのは夢ではなく、未来も将来というほど先の事ではない。
明日の試験勉強の話である。
明日、テストだ。勉強は全然していない。もう夜だ。夕飯を食べて、徹夜とはいかないまでも深夜2時ぐらいまで頑張ろう。範囲を少しだけ残して寝たら、朝は1時間早く起きて残りをやって、試験範囲をカバーする。登校中の電車の中で全体のおさらいをして、学校に着いたら最後に一番怪しいところを頭に詰め込む。計画としては完璧だ。いや、今現在、何もやっていないけれども。ただ、
「僕は未来の自分に自信を持ってるから」。
おととい? きのう? 今日の今まで? やるべきだったのにやってなかった、後回しにしていた。それが自分だ。けど、テストの日は待ってくれない。必ず訪れる。そして、自分は試験範囲を勉強しない選択肢はない。しかし時間もない。上にあるギリッギリのスケジュールの時間をやり通すしかない。そもそも今までやる気の起こせなかった自分という人間が、これからやる気を起こせるのか。
その少年には起こせるのである。それが締め切りの力と、自分が絶対に守る取り決めというものに対する信頼。他人にしてみれば当てにならないものだと思えるし、本人にしたって今の今まで気を抜いていた状態である。でも、明日の試験の時間になってみて、勉強をしなかった自分は想像できない。信じられない。今から明日までの自分に本気で自信をもっているから。
締め切り、ノルマ、勉強、創作などで”追い込み”という言葉がある。そういう時に力を発揮できる人がいる。そういう時にしか力を発揮できない人もいる。おそらくこれは、”他から科せられたルールを自分が破らないルール”を自分に課しているのだろう。破ってしまった時に心が折れるか気持ち悪さが残るだけかは人それぞれだが、あったほうがいい能力なことは確かである。
”明日までに絶対にこれは終わらせることへの絶対の自信を持つ”、これは自分へ課すルールとして、誰でも今から課す事が可能かもしれない。たとえ小さなノルマだとしても、それをこなしていくことの積み重ねが、自信を持てる未来の自分に繋がるだろう。