「考え続ける」
出典元、不詳。ここに書く内容の信憑性についても、不明。
「考える」という行為を日々行っている人は多いが、ここで言う「考える」は、答えのない問題についての話である。とはいえ哲学的な話ではない。つまり数学の問題は考えていれば答えに辿り着くが、新商品に名前を付ける時には答えがない、そういったタイプの設問への「考える」を言っている。企画のアイデアを考える、ゲームのシナリオを考える、など、そこに100%の正解はないが、「考える」必要はある。
100%の正解というものはないが、いつかは出さなければならない。そこに存在するのは”出来るだけ良いものにしたいという気持ち”は当然ながら、”これまで作ってきたものにひけを取らないものにしたい”という気持ちもあるだろう。ひっくるめてプライドの問題とも言える。そして多くの場合、締め切りが設定されており、最高のものを考え付くまで待ってはくれない。しかし締め切りがなければいつまで経っても答えが出せない可能性もあり、答えのない問題を日々考えている人にとって、締め切りとは必要なものなのかもしれない。では締め切りまでに最高と思えるアイデアが出せない場合はどうするのか。そこで使われる手段は、
「次善策を出す」
というものになるだろう。「次善」とは「最高ではないがその次ぐらいに良いもの」なので、つまり考えている間にいくつか案を出しておかなければならないのである。没にした案を取っておくと言うか……。まあ、自分がそれを次善策だと思って出したのならそれは失敗だし、自分への敗北でもある。周りの評価につながるものなら、それを出した事で評価が下がってしまう事もあるだろう。ただ、その周りの人が最高の案を出せたかと言うとそんな事もないので、自分を卑下する事はないし、結局はプライドの問題である。
いつだって100%のものを出したいと考えるのは誰でも同じだが、どうすればいいかという問い掛けに対する説のひとつが、これである。
「考え続ける」
これが、あまりない手法のうち、最も効果的なものである。
……解決策的なものには見えないが、結局のところ思考を手放さない事が重要なのである。例えば創作活動などは、答えのないものの最たるものと言っていいだろう。漫画家は、どんなに案が出て来なくても締め切りまでに話を作らなくてはならないし、ストーリー漫画ならば、そこでおかしな展開にしてしまうと後々大変な事になる。ある漫画家は、壁を背にするとアイデアが浮かぶ事が多いと言う。別の漫画家は喫茶店でアイデアを練り、浮かばないなら店を変えて、それを繰り返しているうちにアイデアをひらめくらしい。共通して言える事は、環境はそれぞれながらも「考え続けている」という点である。なにが目に入って来て、なにが聞こえて来て道が拓けるか分かったものではないからだろう。
応用で、通常ならば考えていない時間に、「考える」を潜り込ませる方法もある、すなわち、夜これから寝るという瞬間もひたすら考え続けるのである。そのまま眠りにつけばその夢を見られる、……なんて上手い話は無いが、寝る時ではなく起きる直前のまどろみの中、寝る前の考えが再開する可能性に期待する。意識の覚醒前後には、普段とは違う脳みその使われ方がされるのか、やたらと高速で多種多様なシチュエーションが浮かんだりするのである。
脳環境のバリエーションの一つを使ってみるという手で、これが成功すると起きた瞬間に今にも忘れそうになりながらも新しいアイデアが同時多発的に思い付いていたりする。つまりとっととメモをした方が良く、スマホにでも打ち込んでしまおう。ない場合はとりあえず口に出しておくと脳が忘れても耳が覚えているので、緊急時には有効である。寝起きの頭脳の回転はそれぐらい、思い付いては忘れるを繰り返しているため、これが夢をよく忘れるメカニズムなのだろう。その頭脳の高速回転時に今一番考えたいテーマをぶち込むのが、「寝る時に考え続ける」という手法で、ある意味必殺技である。