「PDA」
出典元、携帯情報端末、「Personal Digital Assistant」の略、そしてそれらの商品群の総称。読みは「ピーディーエー」。
ポケットに入るサイズの小型端末であり、液晶画面が付いていてタッチパネルによる操作が可能である。ノートパソコンをさらに小さくした様なものか。たくさんの機能が付いているが、主にはシステム手帳の替わり、カレンダーや時計、電卓、音楽再生、そして電子辞書の搭載された機種もある。ちょっとしたゲームも遊べるのでヒマつぶしも出来る。住所録や電話帳にもなる。通話機能は付いていないので、電話帳の画面を開いて、公衆電話でも探して電話するといいだろう。ポケットに入るサイズの割りにたくさんの機能が付いていて、しかも一部ノートパソコンの替わりにもなり、ちょっとしたエクセルの閲覧ぐらいは出来たりする。こんな便利なものがあるんだ、お高いしちょっと重いけど、これだけ機能が付いているんだから仕方ないか、学生には持てないな、お金のある大人の営業マンとかがバリバリ使いこなすんだろうな。
なんて時代もあったものである。
「PDA」である。スマートさがやや足りていない。タッチパネルについては、登場した時代順に言えばまず銀行の「ATM」が導入し、そしてこの「PDA」、それから「ニンテンドーDS」、そして「iPod touch」だろうか。「iPod」に関しては前機種の「iPod nano」の後期バージョンにも採用されている。まあ、世の中いろいろなハイテク機器が出ている訳で、この間にも別のところから別のものが出ていたかもしれないが、有名どころは概ねこのような流れだったかと思う。
「ATM」のとにかくどんな世代にも使える分かりやすさだけを追求したものは別種と考えると、新規性においては「PDA」が最初に登場したタッチパネル対応情報端末機器だったと言えるだろう。現在たくさん出ている、液晶画面に専用ペンでスラスラっと字を書く機能なども、すでに「PDA」は出来る機種があった。いわゆるガラパゴス携帯の出始めの頃である。「PDA」はボタンのある機種も出ていたため完全にタッチパネル専門とまではいかなかったし、流行っていたとも言えないが、機能としては当時一番先頭を走っていたのは確かだし、先見の明があった事も確かだろう。しかし時代の動静は黒い船に乗ったリンゴにねじ曲げられる。
もちろん「iPhone」である。「iPod」で音楽プレイヤーの新境地を拓き、「iPod touch」からさらにその域を飛び出して様々な機能、まさに「PDA」に比肩する情報端末機器になったあと、ついに通信キャリアに鼻面をねじ込み、”デジタル電話帳を見ながら別の機器で電話をする”などという事をしなくて済む様になった、そのまま受話器を上げるボタンを押せば電話が掛けられる様になった、「iPhone」である。時代はこれに引きずられ、日本やグーグルも対抗し「Android」が登場、時代は「PDA」にスマートさを加味した「スマートフォン」の時代となった。ここからは説明がどうとかより、周りを見てみてください、といったところである。
「PDA」はちょっと惜しかったのか、全然無理だったのか。おそらく日本の通信業界の壁の厚さが最も大きな障害だったのだろうが、今こうやって機能を出してみると、オーパーツ的なものをちょっとだけ感じてしみじみとする。しかし「PDA」も今はあって「スマートフォン」と似た様なものになっているという話もあり、「PDA」の精神は溶けてなくなったのではなく、「スマートフォン」の中に溶け混んで行ったのかもしれない。