「お前もういい年なんだからもうちょっと落ち着いてしゃべれよ」
出典元、失念。おそらく、いつかのどこかのラジオ番組内。発言内容は少し違ったかもしれないが、意味は変わらない。
言っていたのはセーラームーンの声優でおなじみの、三石琴乃である。エヴァンゲリオンの葛城ミサトの声優でおなじみの、三石琴乃である。そしてエピソードトークだったので、言われていたのも三石琴乃である。つまり、三石琴乃がどこかで、同じ声優仲間から、そう言われたと自分で言っていた。言ったのも誰かは忘れたが、発言からして男性声優だろう。酷い話である。
何が酷いかと言えば、この意見は三石琴乃個人に対する意見ではないのである。彼女のその時演じていたキャラクターが、超ハイテンション、超早口のとんでもなくぶっとんだキャラクターだったのだ。それを三石琴乃が、持ち前の演技力と、自らの新境地を拓いたかのごとく超絶パフォーマンスのはっちゃけパワーで演じ切った。おそらくそれは、監督や音響監督などの期待を大きく越える出来映えだっただろう。で。
それを観ていた知り合いの男性声優から言われたのが、
「お前もういい年なんだからもうちょっと落ち着いてしゃべれよ」
である。
三石琴乃にしてみれば「演技だってば!」であるが、まあ、声優仲間から言われるぐらいのぶっ飛んだ演技だったので、そういう事を言われる事自体が声優冥利に尽きるとも言える。また、視聴者にとっても、時期的にセーラームーンや葛城ミサトの後の作品なので、あの有名な声の人が! とんでもなく早口でとんでもなくぶっ飛んだギャグキャラをやってる! という意味では見応え、いや聴き応えのあるものだっただろう。
あ、作品名とキャラクター名を言っていなかった。
「へっぽこ実験アニメーション エクセル・サーガ」、キャラクター名はエクセル。主人公である。
ギャグアニメである。一応ストーリーもあるのだが、”実験”と名の付く通り全体的になんでもありの、勢いで突っ走るお馬鹿アニメである。アニメ内に監督が出ていたり原作者が出ていたりともう意味が分からない。とにかくノリと勢いとエクセルの早口でぶっ込んでいくアニメだった。特異性という意味では歴史に残る作品だろう。三石琴乃の演技だけでも一聴の価値がある。三石琴乃、32歳頃の演技である。ああ、そう言われても仕方ないなと思ってしまうかもしれない。
「お前もういい年なんだからもうちょっと落ち着いてしゃべれよ」