「カレー」
出典元、日本人の国民食とも言われる料理の名前。カレーが嫌いな日本人など存在しない。
正式な名前としては「ライス」に「カレー」をかけているので「カレーライス」である。「カレー」とだけ言うと発祥のインド料理も含めた意味合いになるが、「カレーライス」と言うと一気にあのカレーにイメージが合致するのでそちらの方が分かりやすい。が、まあ「カレーライス」を略して「カレー」でも十分通じるため問題はない。日本人の主食であるお米を使っていて、子どもから大人まで家庭料理から外食まで果てしなく広まっている料理である。元はインド料理だが今の形はかなり変わってしまった。日本屈指の、独自進化に成功した料理と言えるだろう。
問題は。
カレーは辛いという点である。なお、この「辛い」は「からい」であって「つらい」ではない。なんで同じ漢字なんだ。余計なスイッチを入れてしまった可能性があるので、以降「辛い(からい)」と表記する。しかしそれの何が問題かというと、辛い(からい)ものが苦手な人がいるとかそういう話ではなく、「辛い(からい)」と「カレー」の発音が非常に近い事である。
……。
いや。
これは誰しも通ってきた道で、仕方のないタイプのトラップである。カレーを食べて辛い(からい)と感じた時、思わず言ってしまう「辛ぇ(かれぇ)」。日本人の89%は言った事があると言われる。それどころか「カレーは辛ぇ(かれぇ)」、もしくは「カレーが辛ぇ(かれぇ)」、こちらはもう言った事のない人はいないレベルだろう。なんでこんな……ダジャレじゃん! ダジャレを、……言わされてしまうのか。言ってしまうのか。どの方向からの不意打ちなのだろうか。
それはおそらく、「カレー」にしても「カレーライス」にしても、完っ全に固有名詞として確立し切っているため、カレー(karee)って辛い(karai)に発音が似てるよなぁ、と普段から思う事がないから、だろう。「吉幾三」はダジャレだと認識しているが「黒木瞳」はダジャレだと認識していない油断、に似ている。そしていつもの様にカレーを食べていて、おっ辛い(からい)な、と思った瞬間、かr(kar
あっ、これカレー(karee)じゃん、ああ、
「辛ー(カレー)」
と思わず口に出してしまうのだろう。つまり元からある認識の油断に、味覚から来る刺激が頭脳を瞬間的に反応させてしまう事、が原因である。普段ダジャレなど言わない人もカレーには勝てない。
ちなみに、もしかして「辛い(からい)」の語源がカレーじゃないの? と思う人もいるかもしれないが、カレーが日本に入って来たのは明治時代で、さすがにその前から辛い(からい)食べ物はあったので、語源ではない。そして当然、インドのカレーが日本語の「辛い(からい)」を由来にしたはずもないので、これらの名前が似ているのはただの偶然である。