「無限ピーマン」
出典元、最近発明されたピーマンの調理方法。なお、ピーマンが無限に増える訳ではない。
万人に流行る調理方法というものは何より美味しさ、ではない。何より簡単さである。美味しければどんな手間を掛けてもいい、というのは普段から料理をする人の考え方、もしくはプロの料理人の考え方である。普段料理などしない人が、「あ、これなら簡単だから出来そうかも」と思う、かつ、それでやってみたら本当に簡単に美味しいものが出来てしまう、のが流行る調理方法の条件だ。使う調味料が一般家庭に普通は揃っている、という点も重要。「無限ピーマン」はその条件をギリギリ満たしている。あくまでギリギリである。
調理方法は、まずピーマンを3個ぐらい細切りにする。そして耐熱のボウルなどに入れ、缶詰のシーチキンを油を切って入れる。ごま油、鶏ガラスープ、塩こしょうを掛けたらまぜまぜし、ラップをして電子レンジで2分ほどチーンしたら完成である。はいどうぞ。これ、美味しい! ごはんが進む進む、いやもうご飯が無限に食べられるよ! ……から「無限」の称号が付与された。「無限ピーマン」である。ピーマンが無限に増える訳ではない上にピーマンを無限に食べられる訳でもない。ご飯を無限に食べられるという意味での、「無限ピーマン」である。
もちろんアレンジしてもらって構わない。というか分量を書いてないので上のを見ただけでは作れないかと思うが、適当にやってもかなりのクオリティに仕上がるのがこの「無限ピーマン」の特徴である。ネットなどを見て定番の量を確認して、作ってみるといい。また、当然ながらピーマンを切る以外がほとんど”加える”行為なので、とにかく調理が早く済む。チーンしてる時間は他の用意をしていればいい。この簡単さと美味しさで、爆発的に広まった。ピーマン嫌い以外には大好評である。
また、色々なものに応用が利くのも「無限ピーマン」の大きな利点である。美味しさにハマった人たちが、次々と「無限○○」を生み出して行った。つまりシーチキンとごま油の組み合わせが美味しいだけじゃないかという説もあり、なかなかの説得力を持つので、ピーマン陣営としても反論の難しいところである。そもそもピーマンは嫌いな人の多い野菜であるからして。そして「無限ナス」、「無限キャベツ」、「無限もやし」など登場、もやしなどは切る必要すらないので、全部ぶち込んで混ぜたらチーンで出来上がりである。そのインパクトたるや……。
ま、結局のところ、ネーミングの勝利といったところか。誰が初めてこれを作った人はツイッターにアップしたものの、命名はしていなかった様だが、「無限に食べられる」と書いてあったのを見付けた人が「無限ピーマン」と名付けた。とにかく初めて耳にする人には「なんじゃそりゃ?」である。そこからの調べて、あ、簡単、作ってみる、美味しい、広まる、エボリューション! というところだろうか。料理にはまだまだいろいろな可能性が残されているんだな、と思わせられるエピソードである。