「餃子のタレ」
出典元、餃子(ぎょうざ)のタレ。”あれ”。
餃子に付けるタレ。いや、餃子を付けるタレ。”あれ”。……”あれ”と言われても困るかもしれない。いや、困らないかもしれないが、各自頭の上にホワホワホワ~っと思い浮かべたその「餃子のタレ」が、もしかしたらそれぞれ別のものなんじゃないか、というのが今回の争点である。そもそも「餃子のタレ」に対して、どのセリフを連想するのが正しいだろうか。「餃子のタレ出しといて」だろうか。「餃子のタレ作っといて」だろうか。「餃子のタレ今日はどうする?」かもしれない。少なくとも”あれ”じゃ分からない。
「餃子のタレ」とは、つまり餃子を食べる時に付けるタレである。「餃子のタレ」というタレが容器に入っているので、それを小皿に出して使う。……。
違う。「餃子のタレ」は普通、家庭にはない。簡単に作れるからこそ、専用のタレを置かない事に定評があるタレなのである。
「餃子のタレ」とは、醤油と酢、そして少しのラー油を自分で調合して作るものである。醤油と酢を均等に入れたいが、酢は瓶から注いでドバッと出てしまう事が多く、再度醤油を足して、また酢を足して……と量がどんどん多くなってしまうというお約束が存在する。
これ?
「餃子のタレ」は、もっとこだわって作るものである。醤油と酢とそこにミリンも混ぜたら、ごま油少々とお好みでラー油を垂らす。はい、これでお店が出している「餃子のタレ」と同じ味を再現出来ました。クックパッドで人気ナンバー1のレシピです、有料会員でないのによく辿り着きましたね。
……違う?
「餃子のタレ」? おいおい、”通”はそんな醤油とか使わないんだよ。卓上に酢とコショウがあるだろ? 醤油を使わずに、酢だけ注いで、そこに胡椒を思いっ切り振りかけるんだ。このさっぱりした辛さが、堪らないんだよ!
はい。”通”って言うよりミーハーかもしれないが。そして卓上調味料の話はしてないんだよなぁ……。
そう、「餃子のタレ」は、人によって正解が違う。
「餃子のタレ」というものに対する認識は、個人差が非常に大きいものなのである。そもそも「醤油で食べてもいいじゃん」に対する「いや、ちょっとしょっぱいし」からの「酢で薄める」というのは定番でいいのだろうか。そこは別に「水で薄める」とかも普通にありえると思われる。そして餃子は外食でよく出会う料理でありながら、自宅で調理される事も多い料理である。自宅だと調味料の調合の自由度がとても高いし、勝手にしていい。焼肉のタレで食べたっていいし、ごまダレで食べたっていいし、ちょっとずつあれこれ付けてもいい。
「餃子のタレ」とは、かくも多角的な捉え方をされる、一つの名前でたくさんの意味を持っているタレなのである。
……。
「餃子のタレ」はポン酢でいいよ。
ふぁーーー!!