「無洗米」
出典元、お米の種類。研ぎ洗いする必要なく炊けるお米の総称。
命名した人を張り倒したくなる名前ランキング、ナンバー1の名前である。そんなものは無いが。しかしお米という、日本人にとってなくてはならないもの、そして毎日の食卓に並び、日々炊かれているものの名前に紛らわしい名称を付けてしまった罪は果てしなく大きい。もちろん、命名した人たちは色々考えて付けたのだろうが、「可愛さ余って憎さ百倍」ならぬ「分かりやすくしようとして分かりにくさ百倍」状態である。
お米は通常、研ぎ洗いしてから、水を張ってジャーである程度ふかし、炊飯する。さてでは「無洗米」とやらは研いだ方がいいのか、研がなくていいのか。「無洗米」、「洗無米」、「洗って無い米」、ああちょっと考えれば分かるな、そういう名前じゃないか。「洗って無い」んだから研がないといけないんだ。名称から普通、そう考える。普通、そう考える。
が! 間違っている。なんという初心者キラーっぷりよ……。「無洗米」は研がなくていいのである。研ぎ洗いしなくていいのに「無洗米」とはこれいかに。「洗わ無くていい米」ですよ、って分かるかそんなもん! たぶんこれ、今でも間違えて研いでる人もいるだろうから、定期的に公共放送で告知した方がいいレベルの間違えやすさだと思うのだが……。そしてもう一つ、”なんかちょっと不安だし一応研いでおくか”という人も、たぶんいると思う。じゃあ何のための「無洗米」なのか。完全にネーミングの敗北である。ホントに罪なネーミングである。
ウィキペディアにあったが、NHKの番組で「既洗米」がいいのではないか、という意見が紹介されたらしい。それでいいじゃん、まさにそれじゃん、勘違いしようがないじゃん。……と思うのだが、製法上、別に水で洗っているわけではないらしく、それはそれでウソになってしまう。なんという事か……。「非洗米」、「不洗米」という案もあった様だが、ちょっとイメージが悪いので結局「無洗米」になったらしい。いや、だからそこで紛らわしい名前に妥協するなよと。紛らわしいというかそれもある意味ウソじゃないか、と思うのだが生協が決めたか知らないがお堅いところの人が考えた名前にユーザビリティを求めるのが間違いというものだ。
それで結局、「無洗米」でないお米を研いだ方がいいのか、「無洗米」の方がいいのか、はてさて「無洗米」を研いでしまった方がいいのか、美味しさ的にはそれもよく分からない。業務用の手間を省くために開発されたというが、じゃあお店で出ているお米は無洗米を研いでいない、で正解なのだろうか。せっかく家庭でも手に入る様になり、これだけ普及したのに、ネーミングだけでなんだかお金とか不安とか労力とか、色々なものが被害を受けている気がする。今からでも変えた方がいい。
代替案を出さないと文句を言うだけになるので、案を出しておこう。「水で研がずにそのまま炊けるお米」。変に短縮名称にこだわるから困ったことになる。これでいい。