「簡単ではないと思うけど1ヶ月で追いつける程度の技術だよね」。
出典元、2chスレ「寿司屋「寿司なんて簡単だから握り方教えたらすぐ追いつかれちゃうンゴ…」」より
スレッドのタイトルと、この書き込みである程度予想が付くと思うが、にぎり寿司の技術についてのセリフである。
非常に異論、反論のある話題だと思われるが、あまり決めつけて煽らないように言っているこの言葉が、かなり的を射ていると思われる。つまるところ、寿司屋に修行として入り、最初の10年は掃除と片付けだけ、そのあと仕入れと仕込みの技術を教えてもらい、さらにその数年後やっと握り方を教えてもらう、という古いやり方はさすがにやりすぎだということである。
じゃあ一か月で握れるようになるか、といえば、それはどのレベルまで達していればいいかという問題もあるが、実際のところ簡単なチェーン店や回転寿司ではアルバイトが握っているところもあると考えると、それは可能だと言わざるを得ない。そんな何でもすぐ覚えられるか、と言われれば、そこは役割分担すればいいだけで、チェーン店なら仕入れは工場が行うし、仕込みも別の担当が行えば済む話だろう。
握りの部分はそこまでじゃなく、仕入れ、仕込みがずっと大事だと小野次郎も言っていたし、技術屋でいうところの「最初は下働きからだ」、「手取り足取り教えてやるもんじゃない」、「教えない、見て盗め」が古い考え方だということだろう。
悪いがこれについては寿司職人だけでなく、他にも技術職でいくつか当てはまるものがある。
テキストで覚えなければならない情報が大量にあり、試験もあり、かつ、手先の技術も巧緻を極めるようなものであれば別である。が、
特に手作業の細かい技術のみのものであれば、手先の器用な人ならかなりの早さで習得できるのではないか、というものはたくさんある。
1か月といえば週休2日で22日ほどある。8時間修行の22日として176時間、ビッシリそれをやったとして「そんなの全然ダメだ。習得には10年かかるんだ」と言われるレベルにしかたどり着けないのだろうか。その10年のうち、何百時間掃除や片付けをしているのだろうか。感情論抜きにして考えた方がいい時期に来ているはずである。
だから今、専門学校的なところで握り寿司の技術を短時間で教える学校などが盛況なのだろう。効率化が進む現代、昔ながらの修行をさせているところも、文句だけ言っていても何にもならない。
「簡単ではないと思うけど1ヶ月で追いつける程度の技術だよね」。