「野球は間違いなく日本で一番人気のあるスポーツなのに、なぜかゲームではサッカー(ウイイレ7)とゴルフ(みんゴル4)の後塵を拝していますね。」
出典元、どこかのゲーム系掲示板への、誰かの書き込み。かなり古い。
「ウイイレ7」とは「ワールドサッカーウイニングイレブン 7」、「みんゴル4」とは「みんなのGOLF 4」なので、……うわ、どちらも2003年発売のソフトだった。どちらも「PlayStation 2」のソフトである。しかしまあ、状況はそう変わっていないはずなので、気にせずその前提で話を進める。
野球は間違いなく日本で一番人気のあるスポーツである。しかし確かに、ゲームとしての売上はサッカーやゴルフに劣る。ちなみにアメリカで最も人気のあるスポーツはアメリカンフットボールで、そのゲームは超人気でしっかりと売れている。そして知っての通り日本ではアメフトはマイナースポーツなので、ゲームもさっぱり売れていない。いや、実際の人気とゲームの売上の話をしているので、そこがクロスしていてもおかしくはないのだが、しかしアメフトほどマイナーになってしまうと、ちょっとどうしようもない。
野球のゲームがなぜサッカーやゴルフほど売れないのか。この書き込みに対し掲示板では、野球というスポーツの、ゲーム化した際の操作性について意見が書き込まれている。そもそも野球はルールが複雑である。実際にこれだけ一年中、もとい半年中日本の話題をかっさらうにしては、野球のルールは複雑である。そしてそれをゲーム化しようとすると、操作も複雑になる。操作が複雑になると、初心者と熟練者とで軽く対戦、というのが難しくなる。元々スカッと簡単操作なシリーズとして「ファミリースタジアム」というシリーズがあったが、それを蹴散らして現れたのが現在テレビゲームにおける野球のトップと言える「実況パワフルプロ野球」シリーズだろう。
最初の「パワプロ」が登場した当時は、ピッチャーのコースや球種の投げ分け、それを受けるバッターとの駆け引きなど、一気に戦略性を増したゲームであり、キャラクターはコミカルながらも本格的な要素に野球ファンは食い付いた。サクセスモードという選手育成にも力を入れており、自分の育てた選手でチームを作って優勝を目指すなど、ゲームゲームしていながら野球ファンのツボを突いてくるシステムで、大変な人気を獲得し、今も続くシリーズになっている。実況は売りではあるがおまけでもある。
と、この様な事情により、野球ゲームはカジュアルさを犠牲にして複雑さを取り入れた。そのおかげでカジュアルなファンは付いていけなくなり、ヘビーなファンはどっぷりとハマるようになった。その功罪が、おそらくある。
対してサッカーゲーム。これはほとんど変わっていない。やっている事は同じで、毎年発売して最新の選手を反映させたり、その選手のグラフィックを取り入れたりと発売しているし最新を反映してはいるのだが、進化はしていない。スタジアムを横から見たテレビ視点で、ボールの近くにいる選手を切り替え切り替え動かすプレイスタイルに変化は無い。多人数の選手を一人で動かすという意味では野球と同じだが、時間中ずっと忙しく動かしているサッカーと、ある程度時間を置いた切り替えのある野球とではまた楽しみ方も異なる。これは実際の観戦でも言える事だろう。野球は区切り区切り進むが、サッカーはずっと観ていなければならない。一部、サッカークラブ運営や、戦略を目玉として試合はオートのものもあるが、ややマイナー路線である。
問題はゴルフで、これは個人競技である。そして前の2競技に比べて非常に”自分がやった気になる”という点において優れている。誤解を恐れず言うならば、実際にホールに出た時の楽しみは体感出来るのに、疲れはしない、といういいとこ取りである。最初に画面を見る人はハテナマークを浮かべると思うが、ゴルフゲームのほとんどはボールを打つ時に「タイミング取りゲージ」を採用している。おそらく最初のファミコンのゲームで採用され、これはいい、という事になったのだろう。その後、「マリオゴルフ」、「みんなのゴルフ」でキャラはカジュアル、けれども中身は硬派、という路線を貫き、ゴルフというスポーツのルールを覚える事にも使え、不動の人気を獲得している、ゲージについては発明のようなものだが、任天堂で「マリオゴルフ」を作った人もソニーで「みんなのゴルフ」を作った人も、同じ人のようなものなのであまり気にしないでいい部分なのだろう。実際のゴルフをする気にはならないけどゴルフゲームは好き、という人も多いだろう。
答えらしい答えも出たがこれまでの進化の歴史の流れによっては違っていたかもしれない。しかしゴルフにはない、ペナントレースというシステムは確実に革新的なシステムなので、他にも応用させるべきものだと密かに思っている。