「プログラマー怒らせたらどうなるか見当つくだろ
と捨てセリフを残して辞める
実際には何もしない」
出典元、2ちゃんねるスレッド「会社辞める時にさ自分が新規で作ったプログラムを全消しして辞めるのってアリ?」より。どこかの誰かの書き込み。
このスレの主旨は、まあタイトルで既に分かるが、喧嘩別れの様な形で会社を辞める事になったプログラマーが、自分の作ったプログラムを消してやるーっ、という話である。……実際に消した訳ではなく、「それってアリ?」と聞いている段階なのでまだ消してはいない。そう、消したらさすがに犯罪的な話になるが、消してやろうかと検討する時点ではなにも悪い事はしていないのである。
人が会社を辞める時というものに穏便なパターンはあまりなく、表面上和やかであっても内心では穏やかでないパターンというケースは多い。辞める側としては「もうどうでもいい!」と思っている場合が多く、大人がキレる瞬間として現代社会において有数のシチュエーションと言えるだろう。別に叫んだり暴れたりしなくても、人はキレられるのである。しかし会社側としても、これは辞める人が失念しがちな要素だが、会社側としても「辞める」と言い出した人を引き留める行為というのは、それ自体がなかなかのNG行為と言える。一度「辞める」と言っている人は思い直したとしてもまたすぐ言い出す可能性があるし、引き留めて責任がふわふわな状態で働かれてもそれはそれで困る場面が多い。お願いして残ってもらったとして、会社に恩を着せた空気をまとって業務をされるのは長期的に見て会社によろしくないからである。
しかしこれが、会社の根幹を成すプログラムを作っていた……という状況になると力関係が少し怪しくなってくる。これだけパソコンが使われる様になった現代の業務において、実際にそのプログラムがなければ仕事が全く出来ない、といった場合も多々あり、業務によってはその比重の大きさはとんでもないものになるのである。
仕事というものは担当している人がいなくなっても、いつの間にか他の人が穴埋めしている回ってしまう事が多いが、”その人の作った世界に一つだけのプログラム”が会社の基幹システムになっていた場合には、その人の存在はなかなか馬鹿にならない大きさになっているのである。もちろん絶対にどうにもならないなんていう事態は早々ないが、その人がいればパッと対応してくれる様な修正を、システム開発の会社に依頼して数百万掛かります、3か月ぐらいで作れます、その間業務は回せません……、となったりすると話は違ってくる。
特に社内SEなど、そういったプログラムを組めるのが一人だけだったりした場合はそういう事態になりやすい上に、組んだプログラムが他人が読み取れないレベルのクセの強いものになっている場合も多く、そんな人が会社にキレて辞める段になると、まあ頭に血が上っていて、それこそ
「会社辞める時にさ自分が新規で作ったプログラムを全消しして辞めるのってアリ?」
という考えが浮かんでしまうのである。「アリ?」と聞かれてもそれはアリではないし、やったとしたら体育会系の社長なら家に殴り込まれるし文化系の社長なら普通に訴えられる。しかしキレて辞める人にとっては、もうどうでもよくなっているのもよくある話で、自分の作ったプログラムが長年業務の効率的な運用を支えて来たのに、ロクに評価もされず、君の代わりはいくらでもいる、みたいに言われれば脳みそも沸騰するだろう。ではどうすればいいかと言うと、……いや、やれというのではなく無責任な提案、あるいは大喜利だが、その答えはつまりこうなる。
「プログラマー怒らせたらどうなるか見当つくだろ
と捨てセリフを残して辞める
実際には何もしない」
そう、実害は与えないものの、決して解ける事のない不安を相手に与えるというやり方である。その効果はもはや”呪い”と言えるかもしれない。