「クレームに対する返事は芸術文芸ではありませんので、著作権はありません。もちろん、ユーザーのクレームに歌で返事をすれば別ですが(笑)」
出典元、ネットのどこか、誰かの書き込み。質問系掲示板だったかもしれない。
著作権についての話である。英語でコピーライト。両方よく聞く言葉かと思うが、同じものだと認識している人がどれだけいるだろうか。ホームページなどの最下部にある(C)などが、copyrightの「C」である。このホームページの情報はこの人に著作権がありますよ、という意味である。
著作権はその作品が生まれた瞬間に発生するので、特許のようにわざわざ申請したり、お金を掛けて維持するものではない。しかし逆に言えば比較的緩めな状態になってしまうので、漫画やアニメ、ゲームの同人誌などが著作権者でない人の売れる土壌にもなっている。ただ、これも悪い事ばかりではなく、その作品を好きになってくれた人が広めてくれる、という意味では著作権保持者にとってもメリットはあるので、多くは黙認状態になっている。しかしまあコミケのように同人誌即売会が盛り上がってきて、売上も半端ない事になってきて公式グッズの売上にも響く状態になると問題になるため、一定の金額までならOK、と基準を決めているところもある。
著作権の発生するものは文字、絵、音楽などだが、具体的には「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定められている。今回のセリフはおそらく、「クレームに対する返事に著作権はあるか」という質問に対する回答だろう。確かに著作権が発生しなければばらまかれても文句は言えないし、ビジネスメールのやりとりに創作的な要素が発生するとも思えない。クレームは、個人であるユーザーが運営会社へ送るメッセージなので、常識として運営会社が社外へ出す事はないだろう。が、運営会社からユーザーへの返事となると、お願いするしかない。「こんな事があって運営にクレーム入れたらこんな返事が来やがった」、とブログや掲示板に書かれてしまう事案もよく見る光景である。
そこで必殺技の登場である。
「クレームに対する返事は芸術文芸ではありませんので、著作権はありません。もちろん、ユーザーのクレームに歌で返事をすれば別ですが(笑)」
なあああああるほど。その手が、あるのか? 理屈の上では成り立っている。もちろんユーザーも言われなければ分からないだろうから、返事を歌詞にした歌を録音してユーザーに送り、この歌を他の媒体へ発表する事は著作権の侵害になります、と付け加えておけばいい。理屈馬鹿ならぬ、理屈知者である。まあ本当にやった人がいるとは思えないし、企業としてそれをやったら信用を落とすぐらい常識を疑われる行為だが。回答している本人も笑って言っている通り、ただのシュールジョークである。