《「の」の連続》
出典元、ジャストシステムより販売されている日本語入力システム、「ATOK」の警告メッセージより。それは突然現れる。
「ATOK」をインストールしたパソコンで、一太郎の会社のジャストシステムの《「の」の連続》
……。
そう、《「の」の連続》はこのタイミングで現れる。ひとつの文章の中に「の」が連続して使われた瞬間、ツッコミのごとく立ちはだかるのがこの《「の」の連続》である。まあもちろん、これは「ATOK」の機能なので、そのパソコンに「ATOK」をインストールしていないと現れないが。……「ATOK」とは。
「ATOK」(エイトック)は、ジャストシステムが販売している日本語入力システムである。この不可思議な名称は「かな漢字変換の先進技術」という意味の英語表記「Advanced Technology Of Kana-kanji transfer」の頭文字から取って命名されている。もちろん「K」が「かな漢字」なのが注目ポイントだが、比較的どうでもいい。「ATOK」を説明するのに分かりやすいところでは、ワープロソフト「一太郎」を動かすための日本語入力システムで、「一太郎」が生まれてしばらくの間は「一太郎」に組み込まれていた。しかし「一太郎」が次第に残念な存在になっていき、逆に「ATOK」に使い慣れた人が離れがたいという乖離現象が起こったため、ある時点から単独の販売も行われる様になったのである。日本語入力システムというのは、まあ普通のWindowsユーザーは「Microsoft IME」を使っていて、普通じゃないMacintoshユーザーは「ことえり」を使っている、「ATOK」はそれの亜種と言える存在である。……ん?
《「の」の連続》の様な変換に干渉する機能は、使う人によってはおせっかいに感じる事もある微妙な存在である。ただ、受け取り方は人によるというか、普通に便利に感じる人もいるから、存在が許されている。「Word」でアルファベットのスペルを間違えて打っていて、赤線が引かれたおかげで気付いたという経験のある人も多いだろう。普段いらないな、おせっかいだなと思っている機能でもたまに役に立つとたまにありがたい。それの役立ち度合いがどのくらいかで、必要な機能、必要でない機能の取捨選択が、その人ごとに行われているのだろう。クセの強い機能はデフォにしないで欲しいが、デフォにしておかないと誰も気付かないまま埋もれてしまうのはよくある話である。
日本語入力システムは文字変換のためのソフトな訳で、それをどうやって年々バージョンアップさせて来たのか不思議なものである。「一太郎」がまだ存在していて毎年バージョンアップをしているのもミステリーだが、「ATOK」もバージョンアップを重ねている事もまた凄い。どこをどう進化させているんだ。……の、答えが《「の」の連続》の様な「ええっ?」と驚く新機能だったりするのだろう。別に褒めてはいないが……。そういう、ユーザーがリアクションに困る機能を売りにしなければいけないぐらいなら、しばらくバージョンアップを止めてメンテナンス的なものだけにして欲しいものだが、そこは利益を追求しなければならない企業のサガか。しかし「Word」すら毎年ではなく数年おきにバージョンアップしているのに、「一太郎」が毎年バージョンアップしているのは、まったく誰かに弱みでも握られているのだろうか。官公庁が。