「キャンプセット」
出典元、ゲーム「アレサ」にて、店で購入出来るアイテム。「アレサ」は1990年発売、初代ゲームボーイのソフトである。
やのまんから発売された「アレサ」は、ロール・プレイング・ゲーム、RPGである。ビキニアーマーの女の子主人公が目印のRPGである。ただしその女の子が「アレサ」なのではなく、その女の子はアレサ王国の王女「マテリア」である。基礎部分は普通のRPGを踏襲しているので、RPGをプレイした事のある人なら訳が分からない状態になる事はないだろうが、他のRPGとの差別化を図るべく、様々な珍しい試みがなされているゲームでもある。
まず、街が大きい。通常のRPGなら、地図の上に街があり、フィールドキャラクターと同等かちょっと大きめに4マスぐらいの大きさで街を表現し、入ると画面が切り替わるところだが、……画面が切り替わるのは同じなのだが、外から見た街がそのまま中の分だけフィールドの面積を食っている。塀で囲まれた街の外周を回るだけでひと苦労である。なかなかないシステムだが、その個性の出し方はどうなんだ、と思わざるを得ない。
もう一つの特徴は「カプセルモンスターシステム」で、「ポケモン」ではないが1匹だけモンスターをカプセルに閉じ込める事が出来、その1匹を1回だけ仲間として一緒に戦わせる事が出来る。モンスターを仲間に出来る「ドラクエ5」のインスタント版かな、と思いがちだが、そこそこ命中率の高い「ファイアボール」の魔法が当たってしまえば問答無用でカプセルにモンスターを閉じ込められるのである。閉じ込められると言えば聞こえはいいが、要するに一撃死である。そして”閉じ込められるモンスターに制限がなく”、普通だと制限の掛かるボスクラスのモンスターまで閉じ込める事が可能なため、ラスボス第一形態をカプセルに閉じ込め、ラスボス第二形態との戦闘に参加させるという無茶が可能だったりする。いいのかそれで。
そしてアイテムである。状態異常「混乱」を治すアイテムが「コンランドリー」と、コインランドリーみたいな名前だったり、「睡眠」を治す薬が「オハイヨ」と、オハイオ州みたいな名前だったり、「金縛り」を治す薬が「カナキラー」と、どこかで聞いた様な名前だったり軽くふざけているが、極め付けは「キャンプセット」である。名前は平凡だが、性能が尋常ではない。
このゲーム、通常のRPG同様に傷付けばHPは減り、街に戻って宿屋に泊まると全快する。回復アイテムや回復魔法もあるが、あまり無茶をせず、たびたび街に戻って宿屋に泊まり、レベルアップしていくのは基本である。ところがこの、最初の街で既に売っている「キャンプセット」、フィールドで使えばいつでもどこでも宿屋替わり、一瞬で全員のHPが回復し、しかも使い放題なのである。バランスブレイクも甚だしい。効果を知ったら、まずこれを買ってから冒険を進めようと考えてしまう人続出である。
しかしバランスブレイクはしていない。なぜなら高いから。通常の回復アイテムが4800ぐらいのところなので基本的にアイテムは高めの設定なのだが、この「キャンプセット」、2980000もする。イベントアイテムも購入する様な、金にものを言わせるタイプのゲームなのだが、ここまで高いとさすがに最初の街でひたすら稼いで取ってから、という訳にはいかない。というか最終的に購入せずにクリアする人の方が多いだろう。裏技的なアイテムだが、そんなものが普通に売っているところが「アレサ」の異質なところである。