「ファンの皆様へ、大切なお知らせ」
出典元、特にどこのというのではなく、ふんわりとしたブログタイトルのイメージ。しかしその人のファンならば、ファンなほど、背筋に緊張の走るブログタイトルだろう。
主に女性アイドルのブログで見受けられる。
一番ホッとするのは、「アメーバブログに引っ越しまーす」、みたいな緩いやつだろう。驚かせんなよ! と思いつつ安心するファン。ここまで緩い報告をこのタイトルで行うと、わざとやっている様に感じられる。その次辺りは、「事務所を移籍する事になりました。これまで○○さんでは大変お世話になりました。新しい○○での活動も応援してください!」的なものか。これもまあ、その事務所にいるからそのアイドルを応援している訳ではないので、それほどのダメージはない。なにかトラブルでもあったかな、という勘ぐりはするが、それも含めて支えてくれるのが次の事務所で、本人が頑張って続けて行く気があるから移籍する訳で、応援を辞める理由にはならない。ファンクラブが作り直しになるのかな、という程度の不安である。
そしてもちろん、なぜ緊張するかの一番の理由が”卒業”もしくは”引退”のお知らせの可能性が非常に高いタイトルだからである。女性アイドルなら「学業に専念したい」、「十分アイドルとして楽しめたので」、「昔からの夢だったファッションデザイナーを目指したい」などと、色々と理由を書くだろう。おおむね、取って付けた理由であるが、2割ぐらいは本当かもしれない。そして前を向いた卒業には、これまで応援してきたファンも、涙を飲んで応援メッセージを送るしかない。それがファンの正しい姿である。
が。
「ずっと付き合ってた方と、結婚します」となると話が違ってくる。おいおいおいおいおい、と。一番ハートブレイクな内容である。単に”引退”したくなったなら、上に書いた様に適当な理由を付けてくれればいい。しかし結婚、しかもずっと付き合っていた方? が、いた? え、ずっと? となると過去にさかのぼってファンの怒りが沸騰し、炎上してしまう。専門用語で言うところの、……いや、ことわざで言うところの、
「可愛さ余って憎さ百倍」、である。
こうなるともう、どうしようもない。「円盤割った!」など、よく聞くエピソードであるが、過激な事をするなよ、しかもそれをアップまでするなよ、とは思いつつも気持ちも分かる。女性アイドルとはそういう存在で、普段彼氏といちゃいちゃしていながら、ファンの前では清純なイメージを振りまいている、としても、それを表に出してはいけない。自ら出さなくてもフライデー、……じゃなくて隠し撮りされてバレてしまう事もあるが、それまでは必死に隠しておくべきである。
しかしこの発表をする時に、なぜ「○年前からお付き合いしていた」とか、「中学生の時の同級生の」とかを言うのかがいまいち分からない。付き合い始めが古いほど、ファンにはダメージが大きいのだ。何も言わなければ、最近付き合い出してスピード婚、の可能性もあるのでそれなりにファンの心的ダメージが少ないかもしれない。交際期間は結局はバレてしまうから、初めから言ってしまうという事か。あるいは、もうどうでもいい、と切り捨てる気持ちだからか。もしくは、
自分はどんなに嫌われてもいいから、ファンの皆さんは引きずったりせずにまた元気に他のアイドルを追いかけて欲しい、という最後の愛情なのか。……考えすぎかもしれない。
考えすぎかっ!