「えっと」。
出典元、不詳。というより、誰もが使うなんでもない言葉である。
別に「えーーー、」でも「えーーっと、」でもいいのだが、使いようによって便利にもなり邪魔にもなる言葉である。壇上に立ってその人だけが話し、他の人たちがそれを聞く環境にあるならば、「えっと」などという意味のないフレーズはとても時間の無駄になり、話す人の頭の回転が遅いんだろうな、と思われてしまう、よろしくない言葉である。
が、逆に使いどころによってはとても有用な言葉でもある。例えば会議などで、10人程度でざわざわとそれぞれが雑談状態になってしまった際、目新しい意見をいきなり言い始めても、「あ、すいません、もう一回お願いします」になる可能性が高い。そういう場合に「あ、ちょっといいですか」でも「えっと」でも、”これから発言しますよ”の一拍を置いておけば、周りが一度こちらに注意を向けてくれるので、話し始めから聞いてもらえて無駄にならない。
別に友達同士のたわいのない会話の中でもいい。大勢でワイワイ話してる中、自分も会話に参加しようとする時、別に悪気はなくても最初のひと言はスルーされてしまう事が多い。それはその人たちの注意がまだ自分に向いていないからである。だから「えっと」で一旦注意を引きつける。そしたら話し始めればいい。これは特に男性の、声が通りにくい人には必要なテクニックである。居酒屋などの元から喧噪でうるさい場所では、そもそもが聞こえにくい。さらに声も通りにくいとなれば、声を大きく高く出して、かつ、「えっと!」と前置詞を置くぐらいの丁寧さが必要である。前置詞という名前は……、英語用語なので違うかもしれないが。
さらには、テレビを見ている時、ネットを見ている時、スマホをいじっている時のように、人が明らかに他に注意を向けているのに急に話し掛けるものではない。もちろん普通に対応出来る人もいるが、マナーとして「ちょっといい?」のようなつもりで本題の前にひと言、置いてあげると会話もスムーズに進むだろう。とてもとても当たり前の事であるのだが、老夫婦ぐらいの何十年一緒にいるんだ、という人間同士でもあったりするので、人にものをよく聞き返す人は、意識しておいた方がいい。他社との会議などで相手の話を聞き逃し同じ事を二度言わせるのは失礼に当たるが、別に家族になら失礼にしていいという訳でもないのである。
とにかく”同じ事をもう一度言う”というのはとても無駄なのである。