「いらっしゃいませこんにちは~」
出典元、全国各地のお店。客が入店した際に店員が言うセリフ。
店で良く聞くただのあいさつである。誰もが聞いた事があるだろう。夜にはこんばんはになるし、「いらっしゃいませ」だけの事もあるし「へいらっしゃい!」の事ももちろんある。八百屋は「らっしゃいらっしゃいらっしゃいらっしゃい!」と甲高く声を出し、魚屋はダミ声、低温で「へ~いらっしゃいらっしゃいらっしゃいらっしゃい」と低く繰り返すらしい。全国共通かは知らないが。
この「いらっしゃいませこんにちは~」だが、問題が3つほどある。
まず、客が入ってきたか出て行ったか、入り口の見える場所にいないと分からない。出て行った場合は、購入未購入に関わらず「ありがとうございました~」とだいたいの店では言っているので、言わないといけないのが、どっちか分からないと判断に困る。たまに入ってきたと思ったら目当ての物がなく、そのまますぐ出て行ってしまう客もいて店員もあいさつだけに大慌てである。雑誌探し系でよくある話である。
次に、「いらしゃいませこんにちは~」を言う店は、朝は「いらっしゃいませおはようございます~」なのである。何時から「いらっしゃいませこんにちは~」になり、何時から「いらっしゃいませこんばんは~」になるのかが結構きわどい。いやそれはまだいい。朝に「いらっしゃいませこんばんは~」は言ってしまうと失笑を買うし、夜に「いらっしゃいませおはようございます~」を言ってもなんだここの店員は? 状態になってしまう。しかしここには一つ罠があって、職場というものは、出社してバックヤードで仕事仲間と挨拶するときは、昼からの勤務だろうが夜からの勤務だろうが、あいさつは固定で「おはようございます」なのである。そのノリで夜の時間帯に「いらっしゃいませおはようございます~」と言ってしまうと恥ずかしい。しかし起こりがちな話でもある。
そしてさらに恥ずかしいパターンだが、アルバイトなどで一度店員側を経験してしまうと、条件反射で客の時も咄嗟に復唱したくなるというものがある。もちろん、全然違う店であってもである。実際に客なのに言ってしまったら恥ずかしい事この上ないが、言いそうになった人はいるだそうし、実際言ってしまった事のある人もいるだろう。
ブックオフなど、特に本棚が立ち並び入り口の見えない場所はもはや店員も機械的である。入り口から見える位置にいる店員が「いらっしゃいませこんにちは~」とあいさつすると、棚に隠れて見えない場所にいる店員も一斉に復唱する。それはそれでいい事なのだが、なにせこうなってくると”誰かのあいさつに条件反射”状態である。店が広すぎるともはや確認なんてどうでも良くてとにかく声出しという事になる。誰かがいたずらで、客として入ったブックオフで店員から見えない場所で「いらっしゃいませこんにちは~!」と堂々と言ったところ、店員たちがしっかり復唱したというエピソードがある。いたずらなので真似してはいけないが、なかなかにシュールな問題である。ここまで来ると、入り口が機械的に判断して自動音声を流してくれる方がマシなのかな、とも思ってしまう。
しかし商品を購入し、レジで精算後か店を出るときに店員が「ありがとうございました」を一切言わなかったりすると、それはそれでムッとするので、サービス業というものは難しいものである。