「お~いお茶」
出典元、伊藤園から販売されている緑茶の名前。別格的存在感を放つ、外で飲むお茶のパイオニア。
お茶系飲料がコンビニでこれだけ売られる様になって、どのくらい経つだろうか。「十六茶」だの「爽健美茶」だの、「伊右衛門」や「まろ茶」、「葉の茶」、無数のメーカーが無数のお茶を出し、そして淘汰されて行った。が、まだまだ作られているし、これからも競争は続いて行くだろう。なぜそれまで「お茶」、「日本茶」という領域は手が付けられていなかったのか。そして手が付いた瞬間、ここまで過当競争に突入してしまったのか。
と考えたりするぐらいお茶系飲料が出まくった時期があった。が、よく考えてみると烏龍茶はあった。たぶん「サントリー烏龍茶」。そしてお茶も、「お~いお茶」は昔からあったではないか。そして、「お~いお茶」に関してはもろに過当競争に巻き込まれているはずなのに、現在も平気で元気にやっている。最近バリエーション違いを出したりしているが、標準の味は変わらず売られているし、変わらず人気である。「生茶」などの濃いめのお茶が出て来て一時的に市場が荒れたりするものの、結局「お~いお茶」だけは定位置に収まり続けるというか、安定している。安心感がある。元から冷やして飲むのに対応しているからか、夏場でもゴクゴク飲みやすい薄味が肝なのだろうか。しかしあの、薄目なのにちょっと甘味のある美味しさはなんなのだろうか。
ところで「お~いお茶」というネーミングは、明らかに夫が妻にお茶を頼むところから取られている。実際は知らないが、否定もしにくいだろう。昔からあるだけに、ブランド価値として今さら名前を変える事は無いと思うが、昨今の情勢でもし全く新しい商品に名前を付けるとしたら、念のため回避されるタイプのネーミングだと思われる。うるさく言ってくる人は居るものである。しかしこの、昔ながらの電子ポットから急須を使って妻に淹れてもらったお茶の味を想像すると、……想像してしまうと、「薄過ぎない!?」と思うのが不思議なところである。冷やして飲むのが普通だからだろうか。しかし「お~いお茶」には茶葉やティーバックの販売もあったはずで、あれで出した熱い「お~いお茶」はやはりいつもの味なのだろうか。冷やすとペットボトルのあの味になるのだろうか。微妙に謎な疑問である。
そういえばペットボトルという容器もまた、お茶の過当競争の際に業界に大きく影響を与えた存在だったと思われる。それまでは開封したらもう閉められない缶や瓶が主流だった飲料に、ペットボトルが登場した事で、一度で飲み切らなくてもいいという要素と、かばんの中に入れて持ち歩けるという画期的な要素が追加された。まあもともと醤油はペットボトルに入っていた様な気もするので、ペットボトルが急に進化したのか、使える事に誰も気付いていなかっただけなのかは不明だが、なかなかに面白い歴史を辿っている。”「お茶は外で飲む物じゃない」訳じゃない”という結論が非常に面白い。
あまり関係ないがアメリカでは近年の健康志向から、日本食だけでなく日本茶も人気を集め出しているらしく、有名どころでは「Evernote」社が会社を挙げて「お~いお茶」を応援、しかもコラボしたというニュースもあった。社長からして大好きで、社員もみんな飲みまくっているらしい。同じ緑色だからね、ってそんな事ではないだろうが、そんな事を言ったりはしているらしい。そこまで言われるとペットボトルじゃないちゃんと淹れたお茶も飲んでみては、と勧めたくなるのは、なんという名前の感情なのだろうか。