「ルーティーン」
出典元、スポーツなどでプレイ前に行う決まった所作。最近ではラグビーの五郎丸歩(ごろうまる あゆむ)選手のものが有名になった。
と言っても言葉としては元からある用語の「ルーチンワーク」の「ルーチン」だし、野球用語の「先発ルーティン」の「ルーティン」でもある。「ルーチンワーク」自体、ビジネスや家事など、日常生活でよく使われる用語なので、五郎丸でやたらと広まっただけで目新しい用語という訳ではない。スポーツだけに限ってもイチローがバットをかざす仕草だってルーティーンだし、テニスのサーブを打つ前にポーンポーンと地面にバウンドさせるのもルーティーンだし、昔から見られる光景である。
ただ、五郎丸選手のあの独特の”意味のない”動きがやはりインパクトが大きく、簡単に真似出来る事も相まってものまねやギャグでよく使われるようになった。……その使い方はおかしいが。しかしやはり、話題になったおかげでその利点も大きく取り上げられたからこそ、これだけ用語として知名度を上げたのだろう。ラグビーのキッカーを務める五郎丸選手から広まった事もあり、おそらく「慎重を期す大事な一打」、そして「多少は時間の許す場面」、あとは「技術よりも精神力が試されるタイプのもの」が当てはまりやすいと思われる。サッカーの乱戦中や卓球のラリー中には使えないが、PK前やこれからサーブを打つシーンには使えるだろう。ゴルフに到っては打つたびに使える。
そしてこれがスポーツをやっている人以外も話題にするのは、やはりルーティーンがスポーツ以外でも生かせるからだろう。練習で出来ていた事を本番でも生かす。スポーツでは実力の半分も本番で出せないと言われたりもするが、ピアノの演奏会や仕事上のプレゼン、イベントの司会進行など、スポーツ以外でも練習があって本番のあるものはたくさん存在する。結局のところ多くのものは練習と違い観衆、観客の前で本番が行われるため、”人に見られる緊張”がプレッシャーの大部分を占めると思われる。が、失敗の大部分の原因もプレッシャーが占めているので、つまりはそこの対策をしてしまえば上手く行くという話であり、それの対策の一つが、この「ルーティーン」だと言う訳である。
まあ、五郎丸選手ほど独特のものを作る必要はないと思うが、例えば手のひらに人と書いて飲み込むといった様に、昔から定番の緊張ほぐし術は存在する。一般人であれば例えばそれほど大きくない程度にストレッチをする、頭の中で特定の音楽を流す、壁に向かって「アスカ、行くわよ」と言う、など簡単に行えるものは多いだろう。それがどのくらい効果を発揮するかは、何度も使ってみて成功体験を重ねる事で、有用性が増して行くだろう。持っていないよりは持っていた方がいい、リアル「必殺技」の一つと言えるのではないか。