「サマージャンボミニ」
出典元、全国自治宝くじのいくつかある「ジャンボ宝くじ」のうちの、一つの名称。日本で公的に楽しめる数少ないギャンブルの一つ。
ジャンボ、ミニとは。
宝くじを盛り上げるのは簡単だ、そんなもの「一等前後賞あわせて何億円!」という広告をドカンと打ってしまえばいい、金額が大きければ大きいほど効果がある。……と運営は考えている様だが、しかし最高金額を売りにするのは、超大当たりを引くほんの数人だけの話になってしまうので、キャッチのインパクトに比べてやや空回り感がある。よくいる宝くじ売り場の前で「確率的には……」と熟考するタイプの人にはあまり響かない。まあ確率を考えると、買 わ な い という選択肢が一番という意見もあるのだが、「ジャンボぐらいは買うかな」と考える人はたくさんいるし、それぐらいたまに夢を見るのもいいだろう。
で、その確率的に考えてしまい結局買わなかった人の肩を掴む手法として近年始まったのが、「ジャンボミニ」である。大当たりの金額を少なめに抑え、その替わりに当選人数を大幅に増やすというやり方だ。一等でも億に届かないため、億が当たる可能性はなくなるが、一等の1000万円、二等の5万円や3等の1万円の当選者はかなり増える仕組みになっている。これがまた「買おっかな、でも確率が……」と悩んでいた人の心情にクリティカルに突き刺さる。そして肝なのは、「ジャンボミニ」ではない既存の「ジャンボ」も平行して売っている点である。切り替わった訳ではないので売り場で自分で選べる。
なのでその境で悩んでいる人は、「ふふ、分かっていないやつらめ、まず当たらない普通のジャンボよりも、少しでも確率の高いジャンボミニを買うべきなのだ!」とか思いながら、ジャンボミニを買って行くのだろう。たぶん買わない人からはその彼らも「分かっていないやつらめ」と思われているのだろうが、この施策は買う人を増やすためのものだったので目的は達している。
で、問題はこの名称である。「ジャンボ宝くじ」のミニだから「ジャンボミニ」になるのは仕方ないじゃないか、と言いたいのだろうが、どう考えてもそれはおかしいだろう。お前は半チャーハンの大盛りか。セールス口調で言うと「普段よりも大きいサイズのものの小さいバージョンです!」になり、なにを言っているんだという感じである。どっかで聞いたような話だが、ああタブレットであった様な気がする。スマホに比べて大きいのが売りのタブレットですが、持ち運びやすい様に小さめにしました、おいおい、みたいな。そしておそらく意図せずにこんな名前になっちゃって違和感覚える人もいるだろうけどまあいっかで命名しちゃった感が凄い。
しかし運営側も、もっとたくさんの人に買ってもらいたいというのが目的なら、もうちょっと面白い仕組みは作れないものか。必死に考えて作った企画が当選金額と当選者数をいじるだけでは芸がない。なんかもうちょっと、買う人の脳みそをわしづかみにする様な手は使えないものか。とにかく宝くじはハズレた時の「ハイ残念でした全部無駄!」感がとにかく窓ピシャすぎてとりつく島もない。もっとこう、買い続けていくうちに溜まっていくポイントとかがあって、もらさず毎回買っているとお得で、ここぞという時に次も買わないとこれまで買ってきた分が無駄になるから買わないといけない状態にして大きく買わせる仕組みを……。そう、もっと射幸心を煽って……。……む。
それ以上いけない。