「光堕ち」
出典元、広義には漫画やアニメなどで悪役が味方になる事。狭義にはプリキュア用語なのかもしれない。
なんだこの用語は。
光は堕ちるところでは無い。堕ちるなら闇である。「闇堕ち」という言葉はかなり昔から使われているので、つまりは強引に対義語を作ってしまったところ面白い語感だったので続けて使われ出したのだろう。類義語となると「改心」だろうか。敵として登場したキャラが途中から味方となる、有名作品で言えば「ドラゴンボール」のベジータ辺りが分かりやすいかもしれない。「バスタード」では天使が酷い目に遭って絶望し堕天使になり、敵となったシーンもある。堕天使の「堕」なので正に「闇堕ち」である。
で、「光堕ち」だが、プリキュアの話となると少し条件が絞られて来る。「プリキュア」シリーズは、普通の女の子が変身してプリキュアになり、悪と戦うアニメである。「魔法少女もの」、と言いたいところだが、なにやらコンセプトに「女の子も戦いたい」みたいなものがあるらしく、比較的殴る蹴るの物理的な戦いを行う。決め技にはビーム系の技もあるのだが、基本は身体能力が50倍ぐらいになった女の子たちの肉弾戦である。この辺りが他の魔法少女ものとは一線を画す。ジャンルは「変身ヒロインもの」、もしくは「プリキュア」である。問題は、おおよそ中学生ぐらいの女の子がプリキュアになるので、プリキュアにおける「光堕ち」は敵がプリキュア化する事である。なので男の敵でもおばさんの敵でも「光堕ち」する訳にはいかないという点である。
プリキュアも15周年、シリーズが進むにつれて定番化して来たのがいわゆる「追加戦士」、途中でプリキュアの人数が増える展開である。マンネリ感も解消出来るし、話数も割けるし誰が追加されるのかの話題で大きなお友達も盛り上がる。そしてその展開に強力なスパイスを加える設定が、敵からの寝返り、すなわち「光堕ち」である。が、だからと言って悪の組織にいるおっさんまでもがプリキュア候補にはならない訳で、悪の組織にいる中学生ぐらいの女の子、が真っ先に本命候補に挙がって来るのだろう。
しかし、初めから「何人いるプリキュアを集める」という話が出ていて、「追加戦士」は確定していたとしても、それが「光堕ち」したキャラの追加になるとは決まっていないのである。制作側もそこが考察されて盛り上がるだろう事は考えているらしく、まず味方周りでプリキュアになりそうな他の候補も出していたり、ストーリー展開でフェイントを入れて来たりしている。そこが面白いと言えば面白いが、バレバレな事もあるし、アニメ制作陣が頑張っても玩具を売る側から読まれてしまう事もある。その辺りはグッズも売らなければいけないおもちゃのバンダイの、痛し痒しの部分だろう。まあメインターゲットであるところの女の子はそこまで情報をリサーチしないので気にしなくていい気もするが……。
調べてみるとやはりプリキュア用語っぽい感じではある。確かに意味合いとして、勧善懲悪なストーリーに合うし、悪の組織から改心させるイメージとピッタリの言葉である。そして話は盛り上がるし、説得ではなく心で堕とす。定番化し過ぎたとしても、視聴者の待ち望む展開だとしたら、これからも使われるパターンなのだろう。