「キャッシュバック」
出典元、買い物をした際にいくらかのお金が戻ってくる事の名称。お得感がある。
お得感は、ある。しかしこれは、買うと決めている物について、という条件付きである。特に買う気がなかった商品について、「さあ、買ってください、今ならお得なキャッシュバックキャンペーン中ですよ!」となると、……話が変わってくる。買うか買わないか、背中を押す存在である事は確かなのだが、背中を押す効果しかない。そして特に買おうとも思っていなかった商品についていきなり言われると、一瞬「無料なのかな?」、もしくは「とてもお得なのかな?」と思ったあとに、「……ああ、5%ぐらい戻ってくるだけなのね、はいはい」と失意の元にその売り込みは却下されるだろう。背中を押されようが、要らない物は要らないのである。期待した分だけ少しイラッとする。
いや元から名前で説明されているので文句を言うのも野暮ではある。「キャッシュ」を「バック」なのだからどのくらい戻ってくるかはそのキャンペーン次第である。しかし、全部戻ってくる、もしくは大部分戻ってくる可能性も捨て切れないところがこの言葉の罪なところで、クーポン券にも通じるものがあるが、それを使えば無料になるものと、使っていくらか割引きされるものとがある。どちらもある以上、詳しい説明を聞く前は期待してしまうし、大した事がなかったならガッカリしても仕方ないだろう。
……そしてそういう情報を毎日の様にプッシュ通知されるとうんざりしてしまう、という話である。
専門用語で「キャッシュバックキャッシュバックうるさい状態」と言う。いや言わないが、とにかくそういうものほどほぼ、完全無料ではない。大体が友達を紹介すれば、だったり、なにかに登録すれば、だったり、期間限定で20%戻って来る、程度だったりする。もちろん条件付きの時点でお得感は消滅である。なにかに登録の場合はさらに深刻で、そういうのが嫌だって思っているのにさらに追加で「キャッシュバックキャッシュバックうるさい状態」が追加されて加速してしまう。もし本当に無条件で完全無料、単純にもらえるものがあったとしても、日々これだけ通知されていると、見る人も既に読み飛ばしているのでよっぽど上手くアピールしない限りスルーされてしまうだろう。世の中、宣伝過多なのである。
しかしそれでもやらないよりはマシ、という統計結果が出ているのだろう。1%さえ騙せれば99%の人にスルーされても儲けが出る、の考え方と同じである。そこで得するのはキャンペーンを打つ側で、迷惑に時間を取られるのがエンドユーザーという訳である。家電店で買ったパソコンの多過ぎるプリインストールソフトの余計なお世話感では無いが、今の世の中、顧客に寄り添う施策をしてこそ、満足度が上がるという事をメーカー側も意識した方がいい。