「これも個性だね」
出典元、クオークのCMより。赤ちゃんが「おぎゃあ、おぎゃあ」ではなく「クオーク、クオーク」と泣いているのを見て、医者がこのセリフで返していた。
CMの内容は置いておくとして、「これも個性だね」とは、なかなか万能な言葉である。なんというか、それ一つで全て一刀両断に出来てしまう言葉な気がした。人同士、お互い意見が合わなかったり、揉めたり、相手の性格に問題があると思っていたり、ぶつかる場面はたくさんある。それを全て包み込んでしまうパワーワードではないか。仲が悪いという訳でもなく、それでも意見が合わない、嗜好が違いすぎるような時に、認め合うという意味では有効に使える言葉だとも言える。
例えば、いつも横柄な態度を取っているくせにたくさんの人から慕われている人だったり、暴飲暴食で不摂生な生活ばかりしているのに病気もなく毎日健康で元気でやっている人だったり、仕事場で無口で完っ全に周りと打ち解けようとしないのに仕事はしっかりこなして認められている人だったりすると、肯定するポジティブな意味でも「これも個性だね」と言う事は出来るだろう。逆に言えば両方の意味で使える便利な言葉とも言える。ただ両方の意味があるということは、褒めてるつもりでもけなされてると思われたり、けなしてるつもりでも褒められてると思われたり、誤解を招きかねない言葉という事も理解せねばならない。
それにしても便利な言葉である。全ての言葉を受け流す威力を持っているのではないか。あと目上の立場から乱用したい魅力を持っている。ヘマをして大慌てで騒ぎながらも自分だけでなんとか対処しようとしてる部下を見て、やれやれと思いつつも「これも個性だね」。
会社のしきたりでやり方が決まっている作業があっても、どうしても自分は別のやり方をやってみたい、時間が掛かったり失敗したりしたらやめるので一度だけやらせてくださいと言ってきて結局失敗した部下を見つつ「これも個性だね」。
朝は必ず就業時間ギリギリにタイムカードを押すけど絶対に遅刻しなくて、時間になったら即タイムカードを押して帰るけど仕事残しや周りには全く迷惑を掛けないアルバイトさんに「これも個性だね」。
まあ、そのまんまの意味でもあるのだが。ブームになる可能性も秘めたフレーズだったとは思うが、そんな事になった記憶もない。こんな言の葉を取り上げるのもこのブログの……、これも個性だね。