「2.0」
出典元、しばらく前に流行った、なんにでも付けて新しさを表現する手法。初出はおそらく「Web 2.0」。
ちょっと流行るとすぐ真似したくなる日本人の悪いところが出てしまった感じの用語である。別に本当に悪い訳では無いが今となってはちょっと古くさく、格好悪い。いや、一番大きいのは二番煎じ感か。元々プログラムのバージョン管理で「2.0」や「2.1」などの名称を付ける習慣は昔から使われていた。小数点を刻むのは、小さい更新なら小さい数値を使い、大きめの更新なら整数を上げるとどの段階でどう変わったかが分かりやすいからである。ちょっとした更新で整数をどんどん上げてしまうとFirefoxみたいな事になってしまう。その風習からの応用が、「2.0」なのだろう。今までいろいろ進化して来たけどそれは「1.2」とか「1.3」レベルだったんですよ、今度はまさに次の段階、「2.0」なんですよ、という主張を込めたキャッチコピーである。「Web 2.0」と言われた時は確かに格好良かった。数学的な意味では「Web 2」でいいところをあえて「Web 2.0」にしたのが新しかったのだろう。しかしいろいろなところが真似し出すうちに、「またか」の感じが大きくなり、次第にブランド価値が落ちて行った。たぶんこれは「2.0」自体のせいでは無く、流行ってから真似したところが格好悪いと思われてしまったのだろう。ドコモとか。
ウィキペディアによると「Web 2.0」が2005年に発祥し、その後2年間ほど流行した、とあるので、まあ他のメーカーや商品が追随したのもその頃だったのだろう。結構古い。しかし最近もどこかが使っていた。接続端子のUSBなどは普通の意味で規格として「2.0」、「3.0」を使っていたが、そちらは真似だったのだろうか。名前はどうでもいい部分があるが、変に凝った名前を付けられてどっちが新しいか分からなくなるよりは普通に数字を振ってくれると分かりやすい部分もある。まあUSBなら重要なのはその転送スピードである。
日本ではやたらと真似されていたが、「Web 2.0」自体はアイルランド人のティム・オライリーという人が提唱したものらしい。2chのひろゆきがインタビューしている記事があるが、結局いまいちよく分からない。というか2005年頃の話な上に、さらに昔のIBMがコンピューター業界を支配していた時代の話をしているので今となってはどうでもいいというかズレている話である。コンピューター関連の書籍は古くなると価値がなくなるのと同じ理屈である。一部、プログラム言語の基礎本を除くが。しかしそのふんわりとしたイメージで名付けられたものを真似してしまったのが日本のたくさんある企業という事なのだろう。格好良ければいいんだよ、の精神である。
最近だと「HTML」がやたら長い間「HTML 4.01」だったのが、やっとこさ「HTML5」に進化したのが記憶に新しい。「HTML 5.0」では無く「HTML5」でビシッと決まっていると感じるのは、アルファベットの印象からだろうか。しかし「HTML 5.1」、「HTML 5.2」と進むにつれて、またなんか面倒くさい感じが出て来ているし、単なる印象の問題かもしれない。やはりキャッチフレーズというものは、ひと目見たときの「なんか格好いい」が重要なのだろう。