「利用者に向かってなんだ、その書体は。」
出典元、えむばーど(@m_bird)氏のつぶやきより。高輪ゲートウェイの話。
「こうりん」……、いいえ、「高輪」は「たかなわ」と読みます。ゲートウェイ? 牛のマークの? いいえ、違います。高輪ゲートウェイとは、山手線の駅の名前。いやいやいや、そんな駅、聞いた事ないよ、山手線でしょ? 山手線にそんな駅ある訳ないじゃん。なに言ってんの?
……という過去の人間からの文句が聞こえて来そうな話だが、「高輪ゲートウェイ駅」(たかなわげーとうぇいえき)は2020年3月14日に開業した、JR山手線の30番目の駅である。山手線の駅追加は49年ぶりらしい。元から駅間が狭く、次の駅まで1、2分で着いてしまう山手線。最高速に達する前にブレーキを掛けるレベルの短さにならなければいいが。正式には、オリンピックのために暫定開業状態で、2024年に正式開業という扱いらしい。今使えてるんだからどうでもいいが。
山手線の駅追加という事で、もちろんニュースにもなったし、駅名は初の公募となった。どしどし応募してください、ランキングも付けますよ、商品も当たりますよ、1位だった名前に決まるとは言ってませんよ……。……ん? 公募の結果、1位の「高輪」、2位の「芝浦」、3位の「芝浜」をすっ飛ばして130位の「高輪ゲートウェイ」が選ばれた。えええええ。このアクロバティック選考に、当然周りからは大ブーイングを浴びた。だって1位のにするとは言ってないし。問題は、この空気を読まない駅名の長さと、カタカナが入っている点である。これまでの駅名で最大は「西日暮里」や「高田馬場」などの4文字だったのに対し、「高輪ゲートウェイ」は倍の8文字である。これだけ場違いな大きさがねじ込まれてしまうと、一覧として表示する時の不均衡さが目立つし、駅名というものは地図にも必ず載るものなので、とにかく取り過ぎる幅に利便性の悪さが著しい。そしてやはり、カタカナ自体も山手線の駅名では初登場なので、綺麗にリスト化されていた色々なものにデザイン上の弊害が発生してしまったという。とあるアプリでは駅名の文字数上限をオーバーしてエラーになってしまったとか。とにかく罪深い命名だったが、しかし今さら変える気はないらしい。
そして2020年3月14日に開業した高輪ゲートウェイ駅、さすがに超メジャー路線の新駅追加となると、一大イベントである。さて、どんなもんだ? 見せてもらおうか、首都東京のエース路線の実力とやらを。しかしそこで登場し、話題をかっさらったのは、高輪ゲートウェイ駅正面の看板、の、
フォントだった。
線が太くどっしりとして遠くからも見やすいゴシック体”ではなく”、線の細い明朝体だったのである。具体的にはおそらく「ヒラギノ明朝 Pro W6」。このデザインに各方面から非難轟々となった。単純に読みにくいし、ダサいという意見も多かった。しかも悪い事に、なんでこれにしたの、の問いにデザイナーが「和をイメージした」と言ってしまった事で、単にデザイン性でこれを選んだ事が確定、デザインを重視したのにデザインをダメ出しされるという、一番悲しいやつになってしまったのである。もちろんこういったものは人の好みなので、これがいいと言っている人もいたが、好み以外にも視認性が悪いという意見もあり、これはひと目見た人が納得出来てしまうので、結局のところ袋叩きとなった。新しい駅としてほかの部分に責められるところはなく、この一点のみにおいてこれだけブーイングを食らうというのは、命名に続いて「高輪ゲートウェイ」、不幸の星の下に生まれてしまったのかもしれない。
その当時の、えむばーど(@m_bird)氏のつぶやきを引用する。
正直今日の株価だだ下げより、高輪ゲートウェイの明朝体の方が気に入らない。なんだよカタカナ使っててなんで明朝体なんだよ。
利用者に向かってなんだ、その書体は。
正直今日の株価だだ下げより、高輪ゲートウェイの明朝体の方が気に入らない。なんだよカタカナ使っててなんで明朝体なんだよ。 利用者に向かってなんだ、その書体は。
— えむばーど (@m_bird) March 9, 2020
利 用 者 に 向 か っ て な ん だ 、 そ の 書 体 は 。
こんな責められ方をした施設もおそらく、史上初だろう。