「すらっと言えるようになりましょう。すらっと言えないとおじさんとしてのありがたみが薄れます」
出典元、ラジオ番組「バトルトークラジオ アクセス」より。ナビゲーター小島慶子の鋭利な知的つっこみ。
かつてTBSラジオをキー局として放送していた「バトルトークラジオ アクセス」は、非常に挑戦的なラジオ番組だった。コーナーはいくつかあり、ニュースを中心に様々なものを話のネタにして行くのだが、番組タイトルにある通り、バトルトークのコーナーもあった。それが、一般リスナーに電話を繋いで生でその回のテーマについての意見を聞く、というものだったのである。素人にそんな事をさせるのは危険過ぎる。しかも政治ネタなどかなり危ないものを取り上げていたので、制作側は毎回冷や汗ものだっただろう。しかし聴く側にとっては忌憚ない意見を聞ける部分もあり、人気のコーナーだった。
そこで手腕を発揮したのがナビゲーターの小島慶子である。プロと素人の間に立ち、上手く話を聞き出し、場が荒れそうなら落ち着かせ、最終的に綺麗に意見を取り込むという、本当に上手い事この危ういコーナーを回していた。生放送でそれをやっていたのである。聴いている側がヒヤヒヤする様な場面も度々あったが、小島慶子が取り仕切ってくれるなら大丈夫、という安心感があった。
そしてその小島慶子とタッグを組むおじさんとの掛け合いがまた面白いのである。曜日変わりでジャーナリスト的な人と組むのだが、神足裕司などは小島慶子からすれば20ぐらい上なのに、相手を立てつつ落としつつ仲良くしつつ、聴いている感じは友達感覚で、これも上手く手綱を握っていた。どんな感じかと言うと、こんな感じである。
確か神足裕司がなにかに対して酒のことわざを使って上手い意見を言ったつもりだったのだが、言い方がたどたどしくなってしまった、そのときの小島慶子のつっこみがこれである。
「すらっと言えるようになりましょう。すらっと言えないとおじさんとしてのありがたみが薄れます」
おじさんとしての……、ありがたみ……! 恐るべきつっこみである。生放送なので当然、その瞬間に考えてしゃべっているのだが、切れ味が鋭過ぎる。超鋭利的、超知的長文つっこみとでも言おうか。おそらく相手を見ているのは途中までで、後半は次の原稿に目を通していそうなところが想像出来てしまい、それがまた恐ろしい。
言ってしまえば若い女性である局アナの小島慶子と、解説役のいい歳をしたおじさんという関係だったわけで、こんな軽口が叩けるのはお互いの人柄と関係性のなせる技だったのだろうが、どちらかといえば重めの題材を扱う番組でのメイン二人の気のおけない関係というのが、この番組の人気の秘密だったのかもしれない。
「すらっと言えるようになりましょう。すらっと言えないとおじさんとしてのありがたみが薄れます」
芸術点マックスのつっこみである。