「ファンの皆様、本当にあの~、あの……、おめでとうございます」
出典元、2001年にプロ野球ペナントレースを制したヤクルトスワローズの若松監督が、優勝監督インタビューで放った迷言。優勝監督が、ファンに向けてこれを言った。
もちろんこのセリフだけ言った訳ではないし、優勝した直後なのでたくさんの感情が渦巻いているスタジアムだったのだが、この日、話題はとにかくこのひと言にかっさらわれたと言っていいだろう。
「ありがとうございます」じゃないんか~い!
と、その場にいた5万人中5万人が思ったはずである。が、お決まりのセリフが放たれるであろうまさかのタイミングでの不意打ちに観客は「???」からの「ナイスジョーク……?」との受け取り方から笑いが漏れ、球場が和やかな雰囲気に包まれたという。ポジティブ系カオス状態。まあ当然テレビ中継もされていたので日本中の人が一度頭の上に大きなはてなマークを浮かべた事だろう。なお、後日分かった事だが言った本人も「ありがとうございます」と言おうとして間違えたらしく、自分でビックリしていた様である。なんじゃそりゃ。ただ結果として若松監督の真面目で地味なイメージから、まさかこの瞬間、このタイミングで大きなネタをぶっ込んで来るとは誰にも予想出来ず、インパクトは絶大であった。スポーツ新聞も見出しに困らず大喜びだっただろうし、このエピソードは優勝と共にしばらく大きなネタとなった。
しかし厳密に考えればヤクルトファンにとって優勝はおめでたい事で、例えばパリーグの西武ファンから「優勝おめでとう」と言われるのは至って普通の事である。健闘を称えるという意味では負けたセリーグの他球団ファンから言われても違和感は無い。問題は、当の応援対象である球団、その責任者である監督自らファンに対して言ってしまった事だろう。間違いではない。しかし普通言わない。それを天然の言い間違いであのタイミングで放ってしまったのは、若松監督も持っている人という事だったか。つっこみとしては「お前が言うな」もしくは「オマエモナー」。残念な事に若松監督と言えば「優勝おめでとうございます」と球史に刻まれてしまった瞬間であった。この人、選手としてもとんでもない人だったんですよ!
後日、改称し東京ヤクルトスワローズとなったヤクルトが14年ぶりに優勝した際、真中監督がある意味セルフパロディでこのセリフを使い、大いに盛り上がったという。その間一度も優勝していないのは置いといて……、いいんじゃないですか。ヤクルトはもう優勝したら永遠にこれで行くしかない。感動を笑いに変える、歴史に残る言い間違いだった。
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