「こうどなじょうほうせん」
出典元、ネット各所。なにごとにも全力を注ぐとそこには人の熱が生まれる。
これは世界最大の同人誌即売会、コミックマーケットにて「魔法少女リリカルなのは」のグッズが売り切れたかどうかの情報戦に付けられた呼び名である。
アニメ「魔法少女リリカルなのは」が人気を博していた頃、コミケに企業がブースを出してグッズを売っていた。企業が出すという事は、同人グッズではなく公式グッズである。同人誌即売会にそういう存在はどうなの? という部分は置いといて、人気作品が人気グッズを限定販売しているのだから普通に話題性があり人も集まった。しかしコミケでそういう人気があるというのは行列が長くなりそうだなーとかだけでなくあっという間に売り切れてしまうという事でもある。つまり開場と同時にそれらを求める人たちが殺到する訳で、本気で欲しい人は早くから並んだり走ってブースに駆け付けたりと努力をする。徹夜は禁止されているらしいが。
そして、そこそこ欲しいけどそこまではしたくないな、と思っている人たちだとどうするかと言うと、それはまあ今の時代、ツイッターなりのSNSに頼るというのは正しい姿勢だろう。つまり開場列に並んでおり、入るまでに売り切れ情報が入らなければブースを目指し、売り切れ情報が入れば諦めるというやり方である。その考えはもっともなのだが、では開場数秒で飛び込んで来る売り切れ情報はどう判断すればいいのだろうか。数秒? え、さすがに、しかし……。
これを専門用語で「なのは完売」と言う。
開場してすぐに流れる「なのは完売」の情報。人気があるという事は、つまり撹乱情報も飛び交ってしまうという事なのである。それだけ欲しがっている人がいるという事である。ここにはまた、当時、現在ほど騒がれていなかった転売屋と、それに対し対策を怠って本当に少人数に買い占められてしまったエピソード、そしてそれに怒った人たちが荒ぶってしまったエピソードなどもあり、様相は混沌を極める。しかしこれらの事象に全く関係ない人たちからすれば、アニメグッズが買えなかった人たちが怒っている、買いたいばかりにウソ情報まで流している、という誠にシュールなニュースな訳で、つまり「高度な情報戦」というより
「こうどなじょうほうせん」
という言い方が適切になってしまっているのだろう。
「なのは」の人気が下火になり、というか販売するブースが出展しなくなった現在も、「なのは完売」の情報はコミケのたびに流れている。売られていないのに完売もなにもないが、良く言えば様式美、悪く言えば悪ふざけが、ひたすら続いているのだろう。参加者にとってコミケのお祭り度合いは年最高レベルなので、その辺は仕方がない。「なのは」ではない作品でも人気のある、特に企業ブースの公式グッズに関しては、現在でも「こうどなじょうほうせん」が繰り広げられているらしい。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。