「サンキューガッツ」
出典元、ネット各所。意味を理解している人が使っていたり、理解していない人が使っていたりする。
ネット上では意外とよく聞くフレーズである。「サンキュー」でいいのになぜそこに「ガッツ」が付くのか。ガッツ石松と関係があるのか。いや、ない。
元ネタは、元プロ野球選手、元北海道日本ハムファイターズの小笠原道大選手の愛称「ガッツ」より。元日ハムが一番分かりやすいのか、元巨人がいいのか。最終的に中日にいたが、元中日と言われてもイメージは沸かないだろう。
直接の原因としては、何やら野球系の掲示板の質問に小笠原のAA、アスキーアートが答えてくれる文化があったらしく、それに答える形で「サンキューガッツ」という言葉が定着したらしい。別に小笠原が博学という訳でもなく、なんとなくであって、変な違和感のある面白さの悪ノリだろう。意味はそんなものだが、何より語感がいい。それにネット特有の「素直にそのままありがとうと言うのが恥ずかしい」部分も合わさって、照れ隠しとして「サンキュー」よりは「サンキューガッツ」、さらには省略して「サンガツ」という使われ方まで定着してしまった。今では野球関連の掲示板だけでなく、ネット各所で使われている。省略したものも含めて、知らないで使っている人も多いだろう。「3月」とは何の関係もない。
しかしもちろん、小笠原が選手として活躍していた頃に、そのチームのファンから「サンキューガッツ」とも言われていただろうし、オリンピックやワールドベースボールクラシックで日本代表としても活躍していたので、その時は日本中から「サンキューガッツ」と言われていただろう。
小笠原自身がこの事を知っているかは不明だが、知ったとしてどう感じればいいか難しいところである。引退したのに愛称だけが別の所で使われているというのは、嬉しいのだか悲しいのだか。今は中日の二軍監督を務めているらしく、さすがに表舞台とは言えないが彼の野球人生は続いている。これが一軍監督になり、チームの活躍に結び付けられるようになって来れば、再び本当の意味の「サンキューガッツ」がそのチームのファンから浴びせられるだろう。
「逆輸入」と言えばいいのか、「ダブルミーニング」なのか。ネットスラングを経て意味が現実に戻るものとなると、相当珍しいパターンだろう。小笠原監督には是非ともそれを狙っていただきたい。二軍監督をしているという事は、一軍監督も目指しているという事なのだから。ただ、できれば日ハムでやってくれたらいいな、と思う日ハムファンは多いかも知れないが、……ただの憶測である。