#空気の読めるWMP
出典元、ニコニコ動画のタグ。いわゆる「ニコニコメドレーシリーズ」にたまに付けられる。
「WMP」とはWindowsに標準搭載されている「Windows Media Player」の略である。「Windows Media Player」を使った事のある人なら分かると思うが、動画を再生すると動画が表示されるウィンドウがあり、音楽を掛けると動画がないのでジャケットなどの情報が表示される。しかしその情報もどこかにあったものを参照しているので、その音楽に全く情報がなかった場合、音楽の裏で不思議なうねうねエフェクトが動画として再生される。どのような仕組みで生成されているのかは不明だが、抽象画の様なものがなんとなく音楽に合わせて適当に再生されるのである。意味は無い。……はずである。
そしてニコニコ動画黎明期、「しも」氏が初めに作り始めた、”現在ニコニコ動画で流行っている音楽をメドレー風に繋げた動画”が流行った。いわゆる「組曲」である。「組曲『ニコニコ動画』」を聴いた事のある人は多いだろう。もちろん大流行したので作る人も大量に現れたのだが、「しも」氏の作品は知名度だけでなくクオリティも高く、非常に高い人気を誇った。「しも」氏はしばらくの間、「ニコニコメドレーシリーズ」とは別枠としてタグが分けられていたほどである。その「しも」氏が動画に使っていたのが、「Windows Media Player」のうねうねエフェクトである。現在は凝った造りをする人も多く、初めから元作品の動画を付けてアップしている人も多いが、「しも」氏はほぼタイトル以外は「Windows Media Player」を使っていた。その部分に力を入れていないという見方も出来るが、とにかく初めて作った人である。しかしそこでプログラムが空気を読む。
#空気の読めるWMP
「Windows Media Player」が空気を読むのである。次々と切り替わって行くメロディに合わせて、まるでそこに合わせたかのように”それっぽい”エフェクトが表示される。エアーマンの曲が掛かったら風っぽいエフェクトになったり、初音ミクの曲が掛かったらネギっぽいエフェクトになったり、カービィの曲が掛かったらピンクの丸っぽい形が出て来たりと、故意かと思わせるほどの空気の読みっぷりで、「しも」氏の動画は毎回それも楽しみにされた。本人も気に入ったのかそのタグをロックしている。
ま、厳密には多少何度か回してみていいところを使っているのだろうが、しかし10分を超える連続エフェクト、ワンシーンである。よっぽど根気がない限り何度もやっていられない。つまり空気を読んでもらう事に賭けていた部分も大きいのだろう。そしてほぼ伝説と化した「しも」氏の作品群、及び他のクリエイターの作った「Windows Media Player」を使った作品に、「#空気の読めるWMP」のタグが付けられる事となった。もちろん「Windows Media Player」を使っていれば無条件で付けられるのでは無く、「Windows Media Player」が空気を読んでくれた場合にのみ付けられる。完全に運ではあるが、それが付くのが”持っている作品”という事なのだろう。
現在「組曲『ニコニコ動画』」は1000万再生を突破している。「ニコニコ動画中毒の方へ贈る一曲」から続く「七色のニコニコ動画」までの作品は、「しも」氏が作るのを辞めてしまいもう途絶えてしまったとはいえ、ニコニコ動画にとってとてつもない価値を持つ作品群だっただろう。他の人の作る「ニコニコメドレーシリーズ」は、現在も日々、アップされ続けている。
#重要ニコニコ文化財