「人に迷惑をかけているわけじゃないし、バカにされるのも案外楽しい」
出典元、ラスベガスにある「ベーコン合同教会」の設立者、ジョン・ホワイトサイド氏のセリフより。
何を言ってるのか分からないと思うが、アメリカにはベーコンを神とする宗教が存在する。食べ物の、ベーコンである。2010年設立。ギャグでやっている訳ではないと思うが、いや間違えた、ギャグでやり始めたのだろうが、会員数は2016年の時点で13000人を越えるようで、ギャグにしてはなかなかの規模となっている。モットーは「ベーコンこそ神。だってベーコンは本物だから」。翻訳なので多少表記ゆれがあるかもしれないが、おおむねそういう意味の言葉である。ベーコンが本物なのは間違いなく正しいし、神の様に美味しいと思っている人がいるのにも疑問の余地はない。この通称「ベーコン教」への加入条件は、「ベーコンの匂いを愛すること」らしい。
また、アメリカで立場の弱い無神論者にとっては多少便利な存在で、結婚式などの冠婚葬祭を無償で行ってくれるらしく、それによって多くの信者を獲得している。確かに言われてみれば、日本などは無神論者だらけだが、仏教、神道、キリスト教と冠婚葬祭ではお世話になる。それを深く気にする日本人がいないのが世界的に見て異常なだけで、他の国では「お前どの宗教の信者なんだ」状態であろう。
なお、ベーコン教は寄付も受け付けていないらしく、うちに寄付するぐらいなら他に寄付しろと言っている。どうやって運営してるんだ、この宗教。とりあえずウィキペディアの関連項目には「冗談宗教」という文字がある。つまり、そういう事である。
もちろん初めて聞いた人は耳を疑うし、笑ってしまう話なのだが、当人たちもそんな事分かってやっているのだからたちが悪い、もとい、楽しそうだ。根っ子には当然、アメリカ人のベーコン好きがあるのだから。ベーコン教を馬鹿にする人はいても、毎日食べるベーコンを愛さない人はいない、と決めつけられるぐらいアメリカ人はベーコンを愛している。ベーコン教があっても仕方ないと思うぐらい、愛している。
設立者にしても、なんというか、行動力もここまで行くと「すごい」の次の「やり過ぎ」を通り越して「馬鹿じゃないの」を一周して「やっぱりなんかもうすごい」に戻ってくる。この設立者ジョン・ホワイトサイド氏は、明らかに振り切ったタイプの人間であると言えるだろう。絶対に楽しんでやっている。もちろん周りの宗教団体から非難される事もあるらしいが、それについての氏の反応がこれである。
「人に迷惑をかけているわけじゃないし、バカにされるのも案外楽しい」
格好いい。無駄に、格好いい。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。