「もう一生分稼いだとは思うけどこれが終わると別マガが終わるし」
出典元、ブログ「マンガ中毒」のスレ「進撃の巨人 まさか壁内の話は先月で完結でこれから第二部のマーレ編始まるのか」より。どこかの誰かの書き込み。
まあ「進撃の巨人」の事ですよね。ネタバレ全開で直進します、と言うか既にあやしい単語が見えているか……。「進撃の巨人」は以降、「進撃」と記載。
このスレは2017年のもので、「進撃」で壁の外にも人類が存在していたと判明、時間ジャンプが起こり舞台は移ってマーレ側の話が始まったところだった。もういきなり気球が飛んでいたりして、エレンの父グリシャの情報があったものの衝撃を受けた読者は多かっただろう。スレの主旨としてはもちろん「進撃」の内容なのだが、それなりにストーリーが核心に進んで来た事もあって、終わりが近いのかもしれないという話も盛んにされていた。すわクライマックス直前か、という空気もあったのである。で、もし終わるとなると、まずこれを思う人が、やはりいてしまう。
「もう一生分稼いだとは思うけどこれが終わると別マガが終わるし」
うん。
作者の諫山創は一生分も二生分も稼いだとは思うが、もし終わったとしたら掲載誌の別冊少年マガジンも終わるだろうな、という当然の予想である。別冊少年マガジンを買うというのは「進撃」を読むというのと同義なのだから……。たった一つのヒット作を出した事により雑誌の知名度が上がる現象はたまにあるが、ここまでワントップなのも別冊少年マガジンぐらいだろう。こんな名前からして付録みたいな雑誌がコンビニにまで置かれる様になるとは。
雑誌側もこれだけ売れたからには乗っかれ乗っかれとばかりに、スピンオフをやったり前回分を再掲して2話同時掲載をやったり、コミックスの発売とタイミングを合わせて「続きが読める!」とやったり、とにかく「進撃」をプッシュしておんぶにだっこ状態だった。「進撃」は創刊号から連載しているし、本当にこれがなくなったら別冊少年マガジンを買う人などいなくなってしまうだろう。……。
いや、なに言ってんだよ「アルスラーン戦記」があるだろ、という人もいるかもしれないが、まあそれぐらいだよね、というのとそこでオリジナル作品を出せないのが連載陣の貧弱さの現れだろう。「アルスラーン戦記」は田中芳樹の小説をコミカライズしたものなので、外国人助っ人感ありありである。次いで「UQ HOLDER」辺りの名前が挙がるかもしれないが、これもまあ「ネギま!」なので、週刊少年マガジンからいただいた助っ人感がやはり拭えず、結局同じ感想となる。その次ぐらいだとアニメ化もされた「かつて神だった獣たちへ」だろうか。「進撃」の掲載順が毎度後ろの方なので、この雑誌の掲載順に意味が見い出しにくい。まあ、「進撃」は人気が圧倒的過ぎてこの作品に関しては意味を持たず、せめて他の作品を読んでもらいたいがために後ろに置いてあるのだろうが。……そこまでする?
しかしおそらく編集が悪い。「進撃」の作品内容とヒット状況を見て思った人は多かっただろうが、いわゆる”絵がそれほど上手くなくても世界観が受ければ漫画は売れる”というやつにジャパニーズドリームを見てしまったのだろう。まさに一時期「進撃の巨人」を真似した様な作品が、同じ別冊少年マガジン誌上で溢れた。絶望的な世界を造り、一話に一回は殺し合いをしている様な作品である。す~ぐ人が死ぬ。雑誌として「ダークファンタジー」を標榜している様だが、「進撃」がまさにそれなので、言い方を変えただけでつまり「進撃」の二番煎じを狙っています、という事だったのだろう。そしてロクに当たりもせず、たくさんの作品が短期で終了していった。短期と言っても月刊誌なので、2年も3年も連載して2、3巻打ち切りである。新人漫画家が編集者の指示で”そっち系”の作品を作ったら短期打ち切りとか、どっちが絶望的な世界なのか分からない。
「進撃」もそろそろ終わりが見えてきて、さすがにここから年単位で続くという事もないだろう。別冊少年マガジンの先行きはなかなかに暗い。それこそ廃刊になるとしたら人気作品だけ他の雑誌に退避してあとは打ち切りという悲しい事態になるだろう。「進撃」の世界の終わりが他の多数の作品世界の終わりにも繋がっていたとしたら、メタ的にちょっと面白いが、本当にすいませんでした。