「全人類に告ぐ。セル結合をやめろ。」
出典元、ブログ「hibitの技術系メモ」より。とある記事のタイトル。
主語が大き……いや、主語は無いか。告げる対象が広い。エクセルのセルを結合しないでくれ、そんなニッチな話題のはずだが、なぜ全人類に告げてしまったのか。エクセルがどれだけ普及していたとしても、全人類の半数も使ってはいないだろうに。しかしこの記事は、共感した人がとても多かったため、ツイッターで大きく拡散されたのである。「セル結合」とは。
Excel(エクセル)の話である。マイクロソフトのソフト、エクセル。いち表計算ソフトだが、Windowsユーザーにメインソフトとして使われ、学校でも教えられ、世界中のオフィスで使われている。スタンダードになりすぎたせいでMacintosh版も出ているのだから大したものである。表計算ソフトでエクセル以外、と言われるともはやエクセルの亜種とかエクセルのパチモンの名前しか挙がらないぐらい、圧倒的な存在と言えるだろう。「ロータス1-2-3」……、うっあたまが。
しかしこれだけ使われているソフトになると、正式な使い方から逸れた使い方をしてしまっている人も多数いるのである。このブログ記事では「セル結合」についてブチ切れているが、それだけでも選択しにくい、コピペに支障が出る、並び替え出来ない、などいくつも問題点を指摘している。「セル結合」という便利機能を使った場合での問題、というだけでそれだけ出ている。そしてその内容に多数の共感が集まったという事は、つまりそのあまりやらない方がいい使い方が、あらゆるところで使われている、という事である。どうしてそうなった?
それはおそらく、「セル結合」した時の”綺麗に決まった感じ”がみんなのクセになってしまった、ところが大きいだろう。「セル結合」してシュッと決まった感じ、雑然としたデータがここで見た目綺麗にまとまった、これで良し! この快感にみんなが心持って行かれている。おそらくそれはセンタリングもされているし、項目セルなら色が付いている。エクセルの利点である自由度の高さと、そのぐらいまでの操作を覚えている人がとても多いのも理由だろうか。しかしそれがエクセル博士、エクセル警察に見付かってしまうとこうなってしまうのである。
実際のところ、スタンドアローンであるなら、……スタンドアローン? そのエクセルデータがそれ単一で使用され、完成しており、別の場所で使われる事も修正して使う事も想定されないのなら、「セル結合」はいくらしてもいい。そこにどんな影響も発生しないからである。しかしながら業務で使っていて多人数が使う場合や、個人で使う場合であっても追記や修正をしてバージョンアップさせていく場合は途端に影響が出る。それが選択やコピペ、並び替えの不具合であり、怒る人は全人類に向けて怒ってしまうのだから、やめた方がいい事はやめておこう……。
しかしもちろん、いついかなる時でもエクセルは表計算ソフトとしての正しい使い方をしなければならない、というのも暴論である。世の中にはエクセルの線や図形を駆使して絵を描く人もいるぐらいである。それだけ自由度が高いのがエクセルの特徴だし、せっかく操作方法を覚えたのだから、出来る事で色々やってしまいたいと思うのも人情だろう。通常Word(ワード)で作るべきワープロ文章をエクセルで作っている会社だってかなりあるはずである。使うとクセになると言うか、せっかくエクセルを覚えたのだからそのスキルで行けるところまで行きたい、ワードを覚えるの面倒臭い、ワードってだってクセ強すぎ、特に表が使いにくすぎ、おっと、ワードの悪口はそこまでだ。……。
だからまあ、そこまで大上段に言う事でもない。「全人類の半数に告ぐ」ぐらいでいい。
本ページの情報は2022年12月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。