「だってなんか実装すると、選択できるようにしろっていつもみんな言うんだもん。」
出典元、ゲーム用コミュニティソフト「Discord」の、アップデート内容の説明文章より。システムメッセージ。
シ ス テ ム メ ッ セ ー ジ。
緩いなおい。しかし気持ちは分かる。古い例えなら「ニコニコ動画」でお試しで次のバージョンを試せますよ、を試したらしっちゃかめっちゃかになってしまったトラウマ、新しいところなら「Gmail」の新しいインターフェースを試せますよ、が怖くて試せない悪い直感。そして戻す方法は簡単に見付からず、ヘルプが当然の様に役に立たず、結局検索してやり方を見付け、戻す事になる。”嫌な予感しかしない”。
ソフトウェアのアップデートについてはもっと深刻である。一度上げたらもう元には戻らない。しかしアップデートしなければセキュリティに不安があったり、そもそも強制最新版のソフトもあるだろう。ユーザーとしては悩ましいところである。「Discord」に近いところの「Skype」で言えば、いつかのバージョンからかチャットの見た目が「LINE」風のフキダシになった。スタンプも付いた。丸々「LINE」のパク……、追随じゃんと思いつつも、問題は余計なグラフィックのせいでひと画面に表示出来る行数が減ってしまった点である。シンプルなやり取りだけ出来ればいいと思って使っていた人にとってこれは、ただの改悪である。チャットも出来、通話も出来るソフトとして明らかに食い合うもの同士、負けてはいられないとバチバチやり合っているのは分かるが、利便性を低下させてまでの今風への追随は、目的と手段がちぐはぐである。どうすればいいか。
そう、新しい機能を実装したら、その機能と古い機能を選択出来る様にすればいいのである。システムメッセージっぽく言ってみる。
「だってなんか実装すると、選択できるようにしろっていつもみんな言うんだもん。」
システムメッセージィ……。子どもの言い訳かっ。
ただまあ、言っている事は同じである。ちなみにこの「Discord」というソフト、そもそもがフランクなシステムメッセージを使っている様で全体的に緩いらしい。いや文言が。フランク……、フレンドリーと言ったらいいか。しかし口調だけ軽くても頭の固いところも多い中、読めば分かる通り大事な機能をちゃんと実装しているので、ユーザビリティをしっかり考えている開発だという事は分かるだろう。そう、どれだけいいと思って実装したシステムでも、万人が大手を振って喜ぶものも早々ないのである。ちょっと一部の色を変えただけで、「なんか好みじゃなくなった」と使わなくなるユーザーもいるのである。ならば、「なんか実装したら前のと選択出来る様にしろ」と言って来るユーザーにおもねる姿勢は、評価されて然るべきだろう。