「即断即決」
出典元、日本語の表現。8割危険、2割有用といったところか。
自己啓発本などではよく好例、仕事の出来る人の条件、の様に書かれているが、時と場合によってはなかなかに危険な行為である。その理由はもちろん、表面的な情報で誤解を誘う宣伝に世の中は溢れているし、買って後悔する商品も世に溢れているくせによく売れているからである。つまり悪い商品やサービスを、言葉巧みに高値で売ろうとする商法がたくさんある。また悪意がない場合としても、とある商品がたくさんのメーカーから発売されていた場合、一つの店に入って「お、これいいな、買おう」という選択は比較的バクチである。いくつかの店を見て性能や価格を検討した上でポイントなども考慮した結果、購入するのが後悔のない手順だろう。主婦などは当たり前の様に行っている。すぐ近くの店に全く同じ商品がより安く売っている事もあるのである。
もっと言えば、高額な商品を買う際はさらに慎重さが求められる。電化製品など、数万円から十数万円する物を買う際、売っている場所全てを確認してから購入に踏み切る人も多いだろう。それはもちろん、実際の家電店だけでなく、今ならネットショップも選択肢に入る。普通にネットで評判を探すだけでなく、ネットショップならその商品に紐付いたレビューが載っている場合も多いため、参考になるだろう。そして「あっちからの情報」、「こっちからの情報」、「ここの情報」が全て合致し、メリットとデメリットを考慮し、自分の需要とお財布事情にピッタリと合った場合、購入するという手順となる。即断即決ではこうは行かない。
しかし2割の有用さは業務上に現れる。イメージとしては”決断出来るリーダー像”といったところだろうか。とある業務で今後どうするか関係者が集まって会議をしている、それなりに皆調べて来て、良さそうな案を出すがどれも良さそうだからと全部を採用する訳には行かない。決めるのはリーダーである。しかし簡単ではないからこそ話合っている訳であって、決まって進めてしまってから大きな問題が出て来た時はそれのフォロー、もしくは後戻りが必要になる重要な決断である。すぐ決めなくていい場合もあるし、しかしすぐ決めれば後々時間的余裕を持てるというメリットも出て来る。つまりここで最も良い案を「即断即決」出来るのが有能なリーダーという訳である。もちろん難しい事だし、それが出来るからこそ有能とも言えるのだが。
もう一つ、上の例が企画レベルなら、この例は作業レベルとなるが「即断即決」を言い換えて「とにかく決めてしまって進める」という行為もまた、時によって重要である。特に自分だけの作業を、始める前に長く手順を考えてしまう人にそれは当てはまる。手順をテキストに書き出して、このソフトを使ってここを作って、そのあとこうして、でもそれだと無駄が出ないか? とずーーーっと考えてしまう場合、いきなり最終工程を作り始めてみるのも一つの手だったりするのである。そうすると一気に全体像が見えて来たりする。プログラマーがたまに言う、「プログラムが完成してから仕様書を書いた」みたいな話とも近い。しかしさすがにそれはやりすぎなので、実際は全体像が見えてきたらまた戻る。そして手順に関して再度「考える」のでは無く「手を動かし始めてしまってから考えつつ進める」のが状況を打開する手段として有用である。おかしければその都度戻り、直す。最初から頭の中で全て完璧な設計図が出来ているのなら、いきなり完成品を作ればいいのだから。同じ考えで、途中の手順もまず手を動かし、その場その場で「即断即決」して進め、おかしければ少し戻って修正、をしていけば、なにもせずにずっと考えているよりはずっと早く、その作業は片付くだろう。