「人類は月面に降り立っていない!!」
出典元、いつかの「Yahoo!掲示板」より、スレッドのタイトル。現在はサービス自体が終了している。
アポロ計画による人類の月面着陸は嘘だったという、いわゆる「アポロ計画陰謀論」である。冗談半分でやっている分には可愛げがあるが、本気で信じてしまった人たちが「捏造だ捏造だ!」と声を荒げる様になってしまっては始末が悪い。しかし日本では大々的にやらかしてくれたテレビ番組のせいで本気で信じた人が多く、結局このスレッドは長期に渡ってホットな言い争いの場となってしまった。
アポロ計画は捏造などではないし、人類は月面に降り立っている。証拠もあるしソースもあるし、捏造説の各主張はすべて論破されている。が、テレビ番組で「捏造派」の意見を集中的に見た人が瞬間的に確信してしまい、「捏造派」が大量生産されてしまった。「空気がないのに旗がはためいているじゃないか!」から始まり、「ヴァン・アレン帯を通過したら無事では済まないはずだ!」、「月面と奥の山との間に変な線がある!」、「アポロ計画のあと月に行ってないのはおかしい!」などなどなど、これ以外にも細かいところからなんとなくのところまで、「捏造派」からたくさんの主張がなされた。これをちゃんとした番組なら本来「それはこういう事なんですよ」とやるべきところ、「どうなんでしょうかね」からの「実は元宇宙飛行士がこんな事(発言の切り取り)を言っています」、「私は大学教授(専門外)ですが本当におかしいです」、ゲストタレントの「ええーーー!?(捏造なんじゃないの?)」とやってしまったのである。もはや扇動だし、視聴者が騙されてしまうのも仕方がない。
「空気がないのに旗がはためいているじゃないか!」は「はためいてるんじゃなくてシワをそのままにしただけ」だし、「ヴァン・アレン帯を通過したら無事では済まないはずだ!」は「船内だし宇宙服でも対策してるし通過する時間短いから大丈夫だった」だし、「月面と奥の山との間に変な線がある!」は「あれ月の地平線、空気がないから地球とは見え方が違うの」だし、「アポロ計画のあと月に行ってないのがおかしい!」は「お金にならないんで……」で普通に答えが出ている。今現在月に全然行っていない事についてはちょっと俯瞰した意見なので「確かにおかしいな……」となりそうだが、単に費用対効果が悪いからである。莫大なお金と、時間も人員も大量に使うクエストにしては、報酬がしょぼい。称号がもらえて、記念品に石である。金目の物がない。たぶんクエスト報酬が「水に沈めると無限に発電する無尽石(ビーズ一粒程度で1日2万kw出力する)」だった場合、まだ続いている。
陰謀論は楽しいのである。それまで信じられてきた、みんな信じているものが間違っていた、騙されていたんだ。そして自分は騙されず真実を知っている、そう思うのがまた気持ちいい。大人たちはろくに疑いもせず騙されたんだ、自分たち若者はもうだまされないぞ、という思いだろう。しかしその大人たち、アポロ計画の当時を生きていた人たちにとっては、それこそ全世界規模で行われたビッグイベントだった。世界中が注目していたし、NASAからの中継以外でも世界各地で宇宙船の観測や無線通信の傍受などをリアルタイムで行っていた。そもそもアメリカに匹敵する技術を持っていたソ連が、なにか落ち度がないかと目を皿にして観測していたのである。当時の人々がなにも言っておらず、ソ連もなにも言っていないのに、今さら素人がなにを言ってるんだか。「あれをどうやってセットでごまかしたって言うんだよw」が正直な感想だろう。
「アポロ計画陰謀論」を信じてしまった人がこれだけ多いのはまあ、テレビがやらかしたからだが、思わず騙されてしまう要素というものを挙げてみる。「テレビで放送しているから本当だろう」。「大学教授とか博士号とか肩書きが凄いし本当だろう」。「外国人が言っているから本当だろう」。「あの人格好良くて堂々としてるから本当だろう」。「ちょっと言い方攻撃的な人だけどあれだけ自信持って言ってるんだから本当だろう」、「Aさんが言ってる事、あっちの人(Aさんの味方)もこっちの人(Aさんの味方)もそうだと言ってるんだから本当だろう」。……。
アポロ以外にも、言える事かもしれない。