「モーニング」
出典元、喫茶店の行っている朝食サービスの名称。「モーニングサービス」の略。
起源は諸説あるが、「モーニング」とはおおよそ名古屋から全国に広まった喫茶店文化の一つである。コーヒーを一杯頼み、希望すれば無料で、主にトーストとゆで卵を付けてくれる。「モーニング」と言うだけあって朝の時間帯限定ながら、飲み物さえ頼めば無料でこれらが付いてくるお得なサービスである。その店で扱っている飲み物ならコーヒーでなくてもいいので、コーヒー党以外も安心。そしてこれが朝の「コーヒーを飲んでスイッチを入れたい」、「ちょっと食べておきたい」、「あと仕事前に少しゆったりと喫茶店で新聞でも読みたい」という需要とマッチし、一部でやたらと流行ってしまった。やっている事は外食なので、「朝から外食なんてとんでもない」という人もいるだろう。しかし「もう毎日そういうものだと思ってるし」と生活の一部になっている人もいる。おそらく名古屋県民にそういう気質の人が多く、喫茶店が増えまくったのだろう。ほかの地域では少なかったが、出店してみると案外ハマる人も多かったため、結果が今の状況でそれなりに広まっている。
そして別に出社前のサラリーマン限定のサービスでもないので、主婦や定年後のシルバー世代などにも普通に利用されている。単純にお得であるし、そもそも喫茶店なので長居がしやすいのが嬉しい。そしてそうなって来ると朝の時間帯限定というのがネックになるので、店側としては機会損失を防ぐため、朝以外でも「モーニング」を提供したり、有料で対応したりと客を逃がさない施策を打っているのだろう。「モーニング」は「モーニング」なものの商売としては別に絶対無理というものでもないため、サービスをサービスで提供している、と言うか……。名前を敢えて「ランチモーニング」、「アフタヌーンモーニング」、「ディナーモーニング」とかにしてみてはどうだろうか。あたまのおかしーネーミングは、指さされはするがネタにもなる。
ただ「モーニング」のサービス内容について、少し杓子定規なところはまだまだ改善の余地があると思われる。……というか全ての店に対して言えるものでもないので、ざっくりとした指摘になるが、名古屋文化をそのまま持って来たな、と思うところである。パンに塗るのがバター、ジャムはいいとして小倉あんがあったり、コーヒーに謎の豆菓子が付いたりと、それはそれで面白いが別にアレンジを効かせてもいいのに、と感じる部分もある。パンにつけるもので小倉あんを推すのは、悪い訳ではないがそこまでピックアップするものでもないだろう。しかし「本場ではそうなんだから」を理由にそのまま持って来ている感じがする。豆菓子も同様、「お茶請け」は洋菓子とかでもいいはずなのだが豆菓子やあられで、うーん……というところだ。手づかみで食べるのでいちいちおしぼりで拭きながらコーヒーを飲み、そしてゆで卵を剥き、手を拭き、塩を取って振り掛け、ゆで卵を食べ、手を拭き、コーヒーを飲む。家ならともかく外で客にやらせるにしてはおもてなしとしてやや雑である。ゆで卵は殻を剥いて提供して欲しいし、フォークで刺せてもいいし、お茶請けは個包装のチョコレート菓子とかでもいいのではないだろうか。いくらでも進化出来そうな部分なのに、なかなかそうなってくれない。そこがまた良いのだろうか。そこがまた、良いの、だろう、か?