「朝マック」
出典元、ファーストフード店マクドナルドが長年行っているサービス。客からあまり歓迎されている様に感じない割に、ずっと続いている謎の仕組みである。
まあ、感想には個人差があるだろうが。
マクドナルドに朝、10時半より前に行っても「ビッグマック」は売っていない。「てりやきマックバーガー」も売っていない。さらに言えば「マックフライポテト」もサイドメニューで選べない。なので食べられない。マクドナルドという店は有名でも、この情報はそんなに誰でも知っている常識では無いだろう。しかし売っていないものは売っていない。そこで売られているのは、「朝マック」というカテゴリーにジャンル分けされた、マフィンなどのマックとしての軽食メニューである。別に不味い訳では無いが、「ダブルチーズバーガー」やCMでやっている期間限定バーガーを意気揚々と買いに行った人にとって、そこに失望は残るだろう。
マック側の気持ちは分かる。いやマックの経営者側の気持ち、は分かる。つまり朝から重い物を食べる人は少ないから、朝に見合ったメニューとして軽めのバーガー、まあマフィンやハッシュポテト、ホットケーキなどの軽めの物を用意しているのだろう。マックがマックの事を考えたらそういう施策を執る気持ちは、分かる。しかし客にとって、マクドナルドに行くという行為はおおむねズッシリとしたハンバーガーを食べたい時だし、時間だっていつでも行ける訳ではない。そして”他の店”という選択肢もあるのである。期間限定バーガーを食べておきたいなー、朝ならギリギリ行けるかな、ああ……、「朝マック」の時間だった、という失望を味わった事のある人は大勢いるだろう。この戦略は経営側として、端的に言えば視野が狭い。軽食サービスをしてくれるのはいいが定番のガッツリメニューを消すなよ、というのが多数の意見だと思うが……。ちなみになぜか「フィレオフィッシュ」だけは定番メニューから「朝マック」の中に紛れている。油の都合?
そして”経営者側の気持ち”と言ったのはもちろん、マックの店員にとっても一日一回メニューがほぼ刷新されるのは面倒だろうな、と思うからである。主に店舗面積の都合で、「朝マック」をやっていない店舗もある。店員にとってその店舗は「いいなぁ」と思われる対象だと思われる。そりゃそうだ、覚えるメニューの量も少なくて済むし、切り換えのゴタゴタもないのだから。あと多分、「やってないのぉ~?」と文句を言って来るお客さんにも遭遇しなくて済む。
よく言われるのが「朝マック」にあるポテト、「ハッシュポテト」だけは一日中売ってくれ、という意見である。「マックフライポテト」のカリスマ性は置いとくとして、「ハッシュポテト」もかなりの人気を誇っている。しかしこれは逆転現象で、つまり「朝マック」の時間にしか注文出来ない。「ソーセージマフィン」などほかのそれなりに人気メニューもあるものの、ここで「朝マック」限定の人気メニューを存在させてしまう事も、また悪手だと言わざるを得ない。不味いものを出せとは言わないが……、しかしそう言われるのが「ハッシュポテト」と「ソーセージマフィン」ぐらいな事を考えると、やはりマックに来る客はグランドメニューをガッツリ食べに来ているのだと予想する事が出来る。
文句ばかり言うのもあれなので代替案を出してみると、まず「朝マック」自体は廃止して、全日共通メニューとする。朝マックの人気メニュー、「ハッシュポテト」はカロリーの観点から「マックフライポテトを全部食べるのもなぁ~……」と思っている人のために、セットの選べるメニューの選択肢に加える。そして朝の需要には、現在もある「コンビ」を有効活用、グランドメニューの低価格帯バーガーとドリンクで200円、そんな感じで客に調整してもらえばいいだろう。
派生して始まった「昼マック」……は終わって今は「夜マック」をやっているマクドナルド。それはそれとして「朝マック」という穴を、ここで一度検討し直してはどうだろうか。「ダブルチーズバーガー」しか頼まない人も、「ビッグマック」しか食べない人もいるのである。そういう人にとって、「朝マック」は選択肢に入りすらしない存在なのである。