「架空請求にご注意ください。使った覚えのないアダルトサイトなどから利用料などを請求してくる悪質な電車がまいります」
出典元、ネット上のどこか。誰かの書き込み。
笑えるネタとして、ネット上ではちょっとした有名なコピペである。コピペと言っては失礼か。なぜなら当然、実際にこれを見て、最初に書き込んだ人はいるからである。面白いのであちこちに広まってしまった。
もちろんこれは駅の電光掲示板のアナウンスである。路線によってアナウンスに空き時間があるので、有益な情報を流そうという駅側の心遣いなのだろうが、電車の到着時刻もまた一定ではない。非常にまずいタイミングで電車が来てしまい、こんな事になってしまった。「悪質な電車がまいります」だけでももの凄いインパクトがある。これを書き込んだ人は怖くて乗らなかったらしい。駅側としても警察に頼まれたのかもしれないが、これでは利害得失である。
強いて言うならシステムが甘い。次の電車のアナウンスが来るなら一度消して間を空けるなり、単に間を空けるなり出来なかったものか。元々あの時刻表示部分はそんなに自由度の高いものではなかった。文字が出せる様になり、段々と書ける文字が増えてきて、まあ路線にもよるだろうが自由度が増してきたので色々やってみたくなったのだろう。昔は電光掲示板ですらなく、時刻の数字だけがパタパタしていた気がする。
しかし笑いという意味では、真面目な公共交通機関、真面目なアナウンス、からの偶然出来てしまった文章という、なかなか狙って出来るものではない作品の誕生である。油断して見ていると、いや油断しているのが普通だが、いきなりこのメッセージが来たら確実に吹き出す。頭脳がずっこける、というやつだ。狙っていないからこその、この完成度なのだろう。これを狙って作れれば、いい漫才のネタが作れるだろう。
「オレオレ詐欺にご注意ください。おれだよ、おれ、と電話を掛けてきて、うっかり名前を聞き返すとそうだよ○○だよ事故に遭っちゃって急にお金が必要になったから悪いけど、などと言い、指定した口座に現金を振り込ませる悪質な電車がまいります」。うん、やはり真似事はしょせん真似事レベルのようだ。
偶然の産物という天然物にはかなわない。さらに言うなら人の性格でいう天然ではなく、完全に機械的な偶然なのだから貴重な貴重な天然ボケである。長年語り継がれるだけはある。