「手作り納豆」
出典元、どこかから出ている商品の名前。特定のどれか、という訳ではなく、あちこちから出ている。
「手作り納豆」と聞いて、どうイメージするだろうか。普段お店で売っている、おかめ納豆などの定番商品、そしてその陳列棚に並んでいる他のメーカーのいろいろな種類の納豆。しかし大抵は発泡スチロールのパッケージを2、3個のビニールで包み、味が違う、造りが違う、豆の大きさが違う、などの差別化を図っているだけで概ね似た造りである。しかしこれが藁に入ったパッケージになるとまたイメージが変わってきて、「お、本格的だな」などと思ってしまう。実際そちらはコストが高く付くだろうしひと味違うのだろうが、美味しさがいつもの納豆と比べてどれだけ優れているのかは不明である。趣が出る事は確かだが。
さて、コンビニやスーパーなどではなく、もっとご当地の名産品、お土産品などにこの「手作り納豆」という商品が陳列されていた場合、どう思うだろうか。もちろん、藁に入っている。これは……! 大豆を藁に入れて”なにがしかの工程を経て”納豆を作るキットなのではないだろうか、……と、考える人もいるかもしれない。しかしただ単にその産地の人が手作りした完成品の納豆なのかもしれない。ここが問題である。いや、書いてあるかもしれないし、聞けば必ず分かるだろうが、少なくとも名前からはどちらとも読み取れる。へぇ、納豆を自分で作れるキットなのか、それちょっと面白いかもしれない、腐らせちゃうかもしれないけど。あ、腐らせていいのか。いやしかし……。
おそらくだが、自由研究レベルの位置にある存在かな、と思う。ネットを探れば、「手作り納豆」のレシピはたくさん出て来る。しかしあくまでも食品である。大豆が簡単に手に入るとはいえ、納豆菌、菌を使った時間のかかる食品の製造となると料理というより工作である。レシピ通り実験的にやってみて、失敗したら大失敗、成功してもまあ、早々市販のものを上回る味のものが仕上がる訳でもないだろう。なので「手作り納豆」のキットがあればまだマシである。それを手に入れれば、その通り作って、ある程度成功率の高い物が仕上がるだろう。
しかし、「手作り納豆」という商品が売っていて、よーしこれの通りに作ってみるかーと開封すると完成品がこんにちはする場合もあるのである。つまりただ単にその産地の人が手作りした完成品の納豆である。な、名前をもっと気を付けようよ……、と思う事しかりである。大豆が簡単に手に入るため、これだけ自作したい人がいる「手作り納豆」、その名前で陳列されていたら、どっちか判別出来ないではないか……。もちろん買う前にちゃんと聞けばいいのだが、つまりこれはあれだ、「もにょる」気分になる、そんな名称である。とりあえず怒鳴っておこう。
おい! 「手作り納豆」!