「デフォ」
出典元、ネット用語「デフォルト」の省略形。意味は「最初の設定から」。
「コンセンサス」だの「アジェンダ」だの「マター」だの、意識高い系の人がわざとらしく使う分かりにくい用語を使わないように意識していても、いつの間にか使ってしまう用語というものはある。知らない人もいるだろうと、ちょっと考えれば分かるだろうに。しかしさすがにこれはもうみんな知れ渡って来たかな、と思って使ったら空振ってしまい、結局同じ穴の狢か、と思いぢっと手を見る。いや見ないが。
「デフォで付いてますよ」。言ってしまう、つい言ってしまうが確かに全く知らない人にとってみれば「でふぉでついてますよ」が通じる訳がない。「でふぉとは?」。「エビデンス」だの「フィックス」だの「コミット」だの、鼻に付くわざとらしい言い回しだなぁと思いつつも自分に浸透してしまった用語はつい使ってしまうものである。というか今挙げた他の3つよりは浸透しているとは、思う。しかし自分の周りでそこそこ通用していたからといって、特にパソコンやネットに疎い人には「デフォ」も通じない用語のうちだろう。デフォでデフォが通じない。
で、不本意ながらもこういうのは結局テレビでタレントが使い出すと一気に浸透する。テレビを見ない人が増えて来たと言いつつも、なんだかんだでテレビの影響力は大きい。売れっ子芸人が使い出したらまず子どもが真似し出し、大御所タレントが使う様になれば中年以降の世代にもすぐ浸透してしまうだろう。この辺りはネットをするかしないかが大きく関わって来る。ネットを使う人はテレビも見るが、テレビを見る人がネットも使うとは限らないのである。日本史上最大のトリック。
しかし別にカタカナ用語に罪がある訳ではなく、日本人に浸透しにくい訳でもなく、浸透している用語がない訳でもない。「サービス」だって「サプライズ」だって「カスタマイズ」だって今や誰にでも通じる用語ではないか。カタカナ英語も和製英語も日本人の勝手な魔改造には定評がある。言葉を作ってしまうのだから大したものだ。他の国ではどうか知らないが、英語が話せない人が大半なのに町中がアルファベットで溢れている事を考えるとやはり異質な国ではあるのだろう。まあ「デフォ」とは関係ないが。
なので「デフォ」ぐらいはゴリ押しで広まって欲しい。もう使っている人も多いだろう。例えば保険の営業マンが使わないのだろうか。「それデフォで入ってますよ」、例えばCMで通販番組が流行らせてくれないだろうか。「ここまでが全部デフォなんです」。まあもちろん、自分が使いたいから周りが覚えてくれという話なのだが、あと一歩のところに来ている様な気はしている。惜しむらくは元々の意味「Default」(デフォルト)に、「最初の設定から」だけでなく「債務不履行」の意味もあるというところか。そっち関係にだけ見識のある人を引っ張るには、やや腕力が必要になる。