「GOD BLESS JAPAN」
出典元、台湾のパソコンメーカー「ASUS」(エイスース)社製のマザーボードに印字された文字より。9年前のエピソード。
意味としては「日本に神の御加護がありますように」だろうか。
半導体製品というと台湾のイメージがある人も多いと思うが、エイスースは世界的に有名なパソコン機器メーカーである。パソコン自体も作っているが、そこはDELLやソニー、NECなどに知名度が劣る。しかしそれらの有名メーカーの蓋を開けてみると、エイスースの基板が使われていたりするぐらい、パソコン業界になくてはならない存在である。
この「GOD BLESS JAPAN」の文字は、2011年3月11日に発生した東日本大震災から数か月、まだ日本中が混乱している時期に、特に告知される事もなくマザーボードに印字されていたのを、日本のユーザーが発見し、話題となった。それはそうである、マザーボードはパソコンの内部パーツとはいえ買う人は性能をよく吟味して購入するし、販売するエイスース側としても商品写真をサイトに載せているのである。機能としては全く関係のないその文字は、精密機器の中にある珍しく意味のあるフレーズだったため、すぐに気付かれた。「GOD BLESS JAPAN」。時期的に明らかに震災に対するメッセージであるし、親日で知られている台湾のメーカーだからこそ、この想いはすぐに届いた。そしてこれは驚くべき事に、エイスース社の、一人の技術者の独断で行われたらしい。製造工程で気付いた関係者はいくらかいたと思われるが、実際にこれが日本で話題になるまでエイスース社の上層部は知らなかったと言われている。しかし、知った後もこの行為はとがめられる事がなかったらしい。
当時、日本中が被災地を想い心を痛めていた。しかし遠く台湾のメーカーが日本を想うばかりにこんな事をしてくれた、というだけで日本人としては心に来るものがあるだろう。元より台湾は多額の義援金を送ってくれた国である。出来るだけの支援をしてくれて、さらにありったけの気持ちを、「日本に神の御加護を」という、祈りに似た気持ちを文字に込めてくれたのだろう。発想は一人の技術者だったかもしれないが、台湾の人みんなの気持ちを代弁している様に感じられた。
国の危機というものはたびたび訪れるものだが、それを乗り越えるには国民が一致団結する事が肝心である。団結した日本人の強さは、世界中の人々が知っている。