「でつ」
出典元、過去に気付いた人。「でつ」と書いて、右を向いた「スヌーピー」が描かれる。
パソコン発展初期には容量制限から悩ましさの多かった日本語全角文字だが、じゃあしばらく使えなかったのかというとそういう訳でもなく、先人の努力でかなり初期からひらがなもカタカナも漢字も使用可能だった。もちろん、そのための機能をわざわざ入れてである。アルファベットが26文字、多少の記号を併せても100文字もあればいい英語圏との兼ね合いの時点において、日本語の一般的な漢字を使おうとすると1万前後は必要だった様で、誰が頑張ったのかは知らないが、よくやってくれたものである。弊害もたくさん生まれたし、完全な過去の話では無いものの、予想だにしないエンターテイメンは後方左斜め上から唐突に訪れる。
それが日本の誇る「偶然の産物」文化、アスキーアートである。
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
そう、こんなものはアルファベットと記号だけでは描けないのである。漢字やJIS規格で登録された記号を使わないと書けない。もちろんこういう事も出来る様に、と考えて実装されたものでは無いだろう。完全に「偶然の産物」である。そしてどうなるかと言うと、英語圏の人から羨ましがらる。現在はそこまで制限もないだろうが、当時のOSでは英語版だと日本語の入力すら出来なかった。
(´・ω・`)
や
(#゚д゚)
や
(°∀°)
は、日本語環境でしか入力出来なかった。そして一行でもかなり表現出来るが、複数行使えるなら普通に絵が描けるのでなんでもかんでも絵になった。2chなどでどんどん流行りだし、絵を入れると勝手にアスキーアートにしてくれるジェネレーターも作られていた気がする。
英語圏の人の表現が
😀
や
🙁
となっていた事を考えると、表現力の違いは一目瞭然だろう。ちなみに上の二つは左を上にして顔になっている。表現力の観点から言うと全角文字の方が数段上を行っていたと言わざるを得ない。オンラインゲームなどで海外の人とチャットをする際、羨ましいと言われる事が多かったという。確かにフリーダム度は群を抜いているので、文字しかないのに無理して説明しようとする時などに非常に有用だろう。
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この様に、表も描けない事はない。この辺りはジャストシステムも頑張ってくれたかもしれないが、JIS規格の中の人かもしれない。NECの「PC-98」シリーズなどの影響で、パソコンにゲームから入った人は多いはずである。じゃあゲームなら英語で頑張るかと言うと、洋ゲーならともかく日本でもPCゲームは大量に発売された。コンシューマーゲーム機が性能を上げてくるまでは、アーケードと共にPCゲームは性能面で一つ上のランクにあったのである。そこで日本語が表示されないはずもなく、打てない訳にもいかない。ガッシャンガッシャン鳴らせながら、フロッピーディスク時代に容量の喰う2バイト文字を、よく入れてくれたものである。完全に諦めていたら日本に英語の強い人が増えた可能性もあるが、かなり低い確率だろう。
そして「でつ」は完全に偶然だがスヌーピーである。言われないと気付かないがスヌーピーである。偶然にしては出来過ぎているが、しかしどう考えても偶然である。これはスヌーピーなので英語圏の人にも伝わるだろうし、しかしひらがなが入力出来なければ描けないので、やはり羨ましがられる対象だろう。ほかにもあるだろうが、偶然度と完成度の面でなかなかこれ以上のものは見当たらないと思う。「で?」と言われると、そこまでだが。