「NOW LOADING」
出典元、コンシューマーゲーム機においてよく見掛ける表記。無駄な時間。
昔は無かった。というかロムカートリッジはメモリなので駆動部分がどうとかそういうものがない。なので物理的な機械の動きにロード時間が左右されるという事もなかった。登場し出したのはプレイステーション辺りからで、ゲームのメディアがロムカートリッジからCD-ROMに変わってからである。ロムカートリッジの形態もCD、コンパクトディスクの形態も様々だが、大まかにはここに大きな間断がある。CD-ROMはデータの読み込みに円盤を回す必要があり、どうしても時間が掛かってしまう。ロムカートリッジに容量を詰め込めば詰め込むほど上がって行くゲームの値段、そこに歯止めを掛けた功績は大きかったが、「ゲームにはロード時間があるもの」としてしまった、ソフトのCD化には功罪あるだろう。ただし、容量は一気に50倍とかになり、長いRPGを作れるぞ、というレベルでは無くなってしまった。今までのものをそのまま長くしたら使い切れるものではない。そりゃあ開発者も、オープニングアニメを入れたり、キャラクターの声を入れたり、音質を凝ってみたりと、ゲーム性とは別の方向に力を入れてしまう迷走時代の始まりである。
そして発生する「NOW LOADING」。ゲーム中、たびたび発生しユーザーに無駄な時間を消費させる。ただし「NOW LOADING」と表示させる場合はまだ良心的な方で、単に暗転したまま20秒ほど平気で待たせるゲームも大量生産された。ハードで言うと有名なところでは「ネオジオCD」だろう。ゲームセンターで人気のSNKの「餓狼伝説」や「キングオブファイターズ」が家庭で遊べる! それが「ネオジオ」! ただしロムカートリッジのソフトは1本3万円します! っておい! ……のCD化安価版、「ネオジオCD」。CD-ROMなのでソフトの値段はプレステぐらいに抑えられました! ただしロード時間にしわ寄せが行ったので、対戦格闘ゲームの対戦をするたびに1分ほどロードしますね! っておいいいいい!! ……猿がお手玉するしょーもないアニメーションを見ながら白目になって待つのが「ネオジオCD」ユーザーの日常だった。のちにロード時間がちょっと早くなった「ネオジオCD-Z」が発売され、白目になる時間が1分ぐらいから30秒ぐらいになったが、そのお得感度合いはユーザーを熟考させた。
プレイステーションで有名どころでは「ファイナルファンタジー9」だろうか。RPGなので数え切れないほどモンスターとの戦闘を繰り返す訳だが、エンカウントして戦闘シーンが始まる前の暗転が14秒あったと言われている。待っていられなくもない時間だが、なにか別の事をする訳にもいかない微妙な間である。トイレにでも行こうものなら戦闘が始まってしまい、モンスターに攻撃されてしまうのでそれも出来ない。始末の悪い事に暗転中も戦闘BGMは流れ始めているので、戦闘モードにはなっているし、とにかく無駄な時間である。14秒掛ける事の戦闘数、掛ける事のプレイヤー数と考えれば日本中の時間をどれだけ吸い取ったか考えるだに恐ろしい。ちなみに日本だけで280万本は売れている。たぶんスクワットでもしてたらいいんだと思うよ。
ところで「NOW LOADING」画面がある場合の「イラッ」にもう一つあるとするならば、パーセンテージ表記の適当さ加減だろう。これはパソコンのインストールなどにも言える話だが、せっかくコンピューターとかいう頭のいい機械が所要時間を計算して表示しているのに、パーセンテージが本当に正しいパターンである事の方が少ない。5%でずっと止まっていたかと思えば急に70%まで動き、もう終わるのかなと思ったらまたそこでしばらく止まり、また動いたかと思ったらまた止まる。極め付けは99%での長時間停止だろうか。こんな進捗状況の報告は仕事だったら上司から怒られている。そんな非常識がなぜかまかり通る、ゲーム業界とパソコン業界である。
ちなみにその無駄である「NOW LOADING」の間にちょっとしたミニゲームを遊べる仕組みも存在するが、コナミだかが特許を取っていて真似すると怒られるので、普及していない。おそらくこれを最初に作ったのが任天堂だったのなら、「ええんやで」の精神で黙認してくれたと思われるが、任天堂はそもそも最後までロムカートリッジにこだわっていた会社である。この辺りの展開がゲーム業界の面白いところであり、……非情なところでもある。
>登場し出したのはプレイステーション辺りからで
初代プレステが発売された94年よりも遥かに前、
ファミコンブームど真ん中の86年にはディスクシステムの起動画面に登場していて、またディスクシステムではゲーム内でディスクチェンジ→読み込みする作品も多く、当時の小学生らにも周知でしたよ。