「偶然の産物」
出典元、古くから使われている表現。元となるひらめきがあってこそ、偶然に産物がある。
しかしそれは、一旦置いといて。
説明は再度になるが、”とある現象”について考えてみたい。どういう現象かと言うと、
「面白い仕組みを考え付いて、その仕組みを柱として企画を作り、付随して細かなルールを設定したところ、その企画は好評を得たが、感想を聞いてみると付随したルールの方が圧倒的に好評さの比重が高かった」
という現象である。企画と書いたが、作品などでもいい。説明するとこれだけ長くなってしまうので、もっと、「コロンブスの卵」の様に、綺麗に説明する言葉があって欲しいのだが、どうにも出合えないし、思い付かないもどかしさが続いている。日本語として存在するのなら知りたいし、存在しないのなら名付けてしまいたいところである。
クリエイティブな活動をしていないと遭遇しないかもしれない……と思っていたが、よくよく考えると誰しも学生の頃は強制的にクリエイティブな事をさせられているので、つまりは誰でも遭遇する機会のある現象なのかと思われる。例えば図工で絵を描いて、メインのモチーフを思い切り描き込んで、まあ背景はささっと描いたあと「どやぁ」とばかりに提出したところ、「あの背景の感じが、いいね!」という評価を得てしまう。嬉しいけど……、「そこじゃなくて!」というアレである。授業のノートを取って友達に見せたところ、他の人にも回ってしまって慌ててしまった。けど回った理由は「すごいね!」って事だったので悪い気分はしない。ノートの取り方にもコツがあるのである。ページの配分、項目の分け方、箇条書きの上手い使い方、図をしっかり定規を使って描く……、「○○君の字って独特で面白いよね!」そこぉ!?
……。
的なやつである。
外に目を向けると有名ラーメンチェーン店の「一風堂」が、ちょうど食らっている悩みかもしれない。本場博多からどう思われているかは置いといて、海外に進出するほどとんこつラーメンを広めた「一風堂」、日本各地に店舗も増えており、素晴らしい成果である。肝はもちろんラーメンの味だ。こだわりのスープ、2色の味付け、盛りすぎないトッピング、気の利いた調味料の取り揃え……、「やっぱ一風堂と言ったらもやしだよな!」真っ先にぃ!? ……いや美味しかろうが、ラーメン屋なのに。「一風堂行こうぜ」の要因の先頭を走られるとそれはそれで眉をひそめて然るべきであろう。
というこの現象の名前はなにか、という設問である。「神は細部に宿る」が近いな、と思っていたが、近いだけで違うとも思っていた。確かに意味をかみ砕くほど意味合いの遠さが感じられる。では、……、
「偶然の産物」なのか?
うーん、かなり近い。近いのだが、「偶然の産物」にはその付随して好評を得た部分がとても意外で、偶然だったという意味が含まれてしまう。違う、そうじゃない。付随した部分もそれなりに考えて作ったルールの場合、なのである。ただしメインと比べるとあくまでサブ的な位置付けであった、というだけで。なのでやはり角度が少しずれていて、しっくりとは来ない。
これは「神は細部に宿る」でも「偶然の産物」でもない。もっと違うなにかである。